ドキドキ大作戦


 さっちゃんと一緒に、手芸屋さんに行った。

 ぼくのイメージに合いそうな生地を見つけられた。
 これで凪紬くんのクマちゃんのお洋服作ってとか思ってたらワクワクし始めた。

 凪紬くんが好きなオレンジとぼくが好きな緑を合わせたお洋服にしよう。

 そんな風にどんどんイメージが湧いてくる。
 イメージ画を早く描きたい。そんな気持ちになる。
 
 さっちゃんも欲しいボタンが手に入ったみたいで2人とも満足いく買い物ができた。
 お店を出てそのまま駅までさっちゃんと一緒に行った。
 


「たろー頑張れ――!絶対上手くいく!なっちゃんを喜ばせよー」

 改札口に入る時、さっちゃんはそう言いながら背中をバシバシ叩いてくる。

 たろうもさっちゃんの応援してくれてる気持ちが嬉しい。

「痛いよ」なんて言いながら2人で笑って改札口に入ってた。
 路線が違うからそこでさっちゃんとは別れた。
 

 ぼくはそのままマンション最寄りの駅で降り、マンションまでの道のりにある2人お気に入りのお弁当屋さんでお弁当を買う。

 凪紬くんはここの鯖の塩焼き弁当が大好きだからそれにして、ぼくは唐揚げ弁当にする。
 お弁当を手にしてマンションまでの道のりを歩く。

 頭の中では、クマちゃんに着せる洋服のデザインや色合いを考えてる。

 早く作って凪紬くんに見せたいな。
 そして凪紬くんに告白したいな。

 そんな風に思うと歩きながらもニヤニヤしてるのがわかる。

 そんなことを考えてたらあっという間にマンションに着いた。

 普段ならそのまま凪紬くんの部屋に行く。

 でも今日はクマちゃんの材料がカバンに入ってる。

 荷物を自分の部屋に置いてお弁当を持って凪紬くんの部屋に向かう。
 玄関を開けたら、凪紬くんの靴が綺麗に並んでた。

 凪紬くんもう帰ってる。

 そう思ったら嬉しくて「ただいまぁ――!」大きい声を出してみる。

 早く凪紬くんの顔が見たくて少しの距離の廊下ももどかしくてパタパタ歩いてリビングに進む。

 あれ?

 普段なら凪紬くんのおかえりって声が聞こえる。

 でも今日は聞こえない。
 凪紬くんどうしたのかな?
 
 凪紬くんはリビングのソファーにぼーっと座ってる。

 ぼくが声かけても聞こえてないみたい。

 凪紬くん体調悪いのかと心配になり、テーブルにお弁当置いてそのまま凪紬くんの元に行く。

 凪紬くんの目の前で手を振って名前を呼んでみる。
 そしたらびっくりした顔の凪紬くん。
 

 こんなぼーぜんとした顔の凪紬くん初めてみた。

 凪紬くんどうしちゃったんだろ。

 体調は悪くないと言うし、疲れちゃったのかもしれない。

 今日はお弁当食べたら凪紬くんに早く寝てもらおう。 
 ぼくも今日は、早くお部屋に帰ろう。そう決めた。
 
 お弁当を2人で向かい合わせて食べる。

 凪紬くんはやっぱりいつもより元気がない。

 凪紬くんに今日どこに行ったのか聞かれた。


 その時の凪紬くんの声が……。

 いつもと違う……静けさがあった……気がした。
 
 なんとな――く、今の凪紬くんには嘘を言わない方がいい。
 そんな気がした。
 
 さっちゃんの新作に使うレースとかを見るために、一緒に手芸屋さん行った。

 そう説明したら凪紬くんなんだかホッとした顔をした。 

 やっぱり今日凪紬くんに嘘つかなくてよかったのかもしれない。
 
 食べ終わっていつものようにグラスなんかを一緒に片付ける。
 やっぱり今日の凪紬くんは口数が少なくて変な気がする。

 疲れてるのかもしれない。

 今日はこのまま帰って凪紬くんには早く休んでもらおうそう思った。

「凪紬くん今日はたろうもう帰るね」
 キッチンから出て凪紬くんにそう伝える。

 テーブルを拭いてた凪紬くんがぼくの隣に来た。
 ぼくの腕を掴んでそのまま歩いてソファーに座った。

 ぼくも凪紬くんに引っ張られるように一緒にソファーに座る。

「なんで?今日はもう帰るの?用事でもあるの?」
「凪紬くん帰ってきた時ぼんやりとしてたから体調悪いかな?今日は早く寝たほうがいいのかな?そう思って。たろうは用事とか何もないよ」
 

 凪紬くんはぼくにピタッとくっついてきて、ぼくの顔を覗き込んでくる。

 
「じゃあ帰らないで。もうちょっと一緒いよう」
「たろうは凪紬くんと一緒にいられて嬉しいけど無理してない?体調悪いとかない?」

 やっぱり凪紬くん今日ちょっぴり普通と違う。

「ううん。大丈夫。たろちゃんと一緒にいたら元気になるから」

 今日は凪紬くんの言う通りにした方がいいそんな気がした。
 

 凪紬くんはぼくにぴったりくっついたまま。

 凪紬くんの体温を感じながらテレビを見て一緒に過ごした。

 やっぱり凪紬くん今日変だな……。
 普段はテレビをつけたまま2人で課題したり、凪紬くんだけ課題してぼくはテレビ見たり新作のデザイン考えたりとお互い同じ部屋の中で自由に過ごしてる。

「凪紬くん今日は、課題ないの?」
「今日はたろちゃんの隣にいるの」

 凪紬くんはそれ以外は何も言わなかった。
 凪紬くんの反応がないと思って隣を見たら、ぼくの肩にもたれかかって眠ってる。
 

 凪紬くんの寝顔が……。

 なんか迷子の子供みたいに見えた……。


 ぼくが凪紬くんに甘えるけど、凪紬くんがこんな風になるのは珍しい。

 珍しいじゃない……はじめてかもしれない。

 
 凪紬くんがぼくに甘えてるようになったのかも……。

 そう思ったらぼくの胸が跳ねた。

 
 (凪紬くんに……たろうは、必要とされてる)


 クマちゃんを早く作らなきゃ。

 それに、早く凪紬くんに気持ちを伝えたい。