ドキドキ大作戦


 凪紬くんに告白大作戦!
 開始するぞ!

 と意気込んではみたものの……。
 
 あんな最大のチャンスを棒に振って次どうしたらいいの?と講義室の机に頭を抱えて、うん、うん唸ってる。
 
 「たろーやっほーなにしてんの?」
 
 頭抱えて唸ってるたろうの肩をポンっと叩かれた。
 

「あっ、さっちゃん」

 たろうの隣には、ブルーに染めた髪を綺麗にお団子に結んでピンクメイクをしてる沙月(さつき)ちゃんがいた。

「うーん。たろうちょっと悩んでんの」

 さっちゃんはたろうの隣にカバンを置いてそのまま椅子に座った。
 カバンの中からノートやペンケースを取り出してる。
 
「話聞く、きくーその前にみてこれ?新作」
 
 さっちゃんは授業の準備が終わったらたろうに両手をぱっと広げて見せてくれた。
 さっちゃんは自分でネイルデザインしてる。
 今日も昨日と違うデザインのネイルをしてる。
 
「わぁ。可愛い!すごい!ハートがモチーフになってる」
 立体的なハートを描いてそれをストーンで埋めてキラキラしてる爪。可愛い。

「いいっしょ。それに合わせて今日はメイクもピンク、服もピンクに統一してみたどう?」
 さっちゃんはピンクの胸元にレースをあしらったレースのフリルが可愛いワンピースを着てる。
 
「胸元のレースの切り替えが可愛い。たろうもこれしてみたい!どうやったの?」
 
 さっちゃんが自分で作った服に興味が湧いて沢山質問したりした。

 さっちゃんは大学入ってからできた、ぼくのお友達。
 凪紬くんとお揃いのクマちゃんをカバンにつけてたらさっちゃんから話しかけてくれた。
 
「ねぇ、ねぇ。そのクマ自分で作ったの?服も自作だよね?超可愛いー!私もこの服自分で作ってんだよ」
 そんな風に気さくに話しかけてくれて一気に仲良くなった。

「たろー。服の話は後でいいから。それより何悩んでの?」
 さっちゃんが、椅子に座り直してぼくに向き合ってそう聞いた。

「あのね……たろう最大の告白のチャンス逃したの」
 なんてこったぁぁ――とあの時を思い出してまた頭を抱える。

「たろーがだぁぁぁ――い好きな、なっちゃん?」
「うん。そう凪紬くん」
「なに、なに。なんでそんなおもしろいことなってんの?」

 さっちゃん目が面白いこと起きてるって顔してる。

 こんな楽しいこと逃すの勿体無い。そんな表情をしてる。
 あの日のことをさっちゃんに話したら、さっちゃん手を叩いて大爆笑し始めた。

「やばっ……そんなっ……面白いことある?」

 さっちゃん、机も叩いて大爆笑してる。
 さっきのその動作に他の子達もなになに?とぼく達の元に寄ってくる。
 
「沙月何そんな笑ってんの?」
 クラスメートがさっちゃんに話しかける。
 
「ちょっとみんな聞いて!たろーがさぁ」
 たろうが止める間もなくさっちゃんがみんなに話して行く。さっちゃんの話を聞いたみんなもさっちゃんと同じように手を叩いて大爆笑してる。

「ちょ……たろー何してんの!なっちゃんに告白するチャンス逃してっ……」
「たろー普段から散々なっちゃん大好きって言ってんのに何してんの」

 さっちゃんだけじゃなく、話を聞いたみんなも手を叩いて大爆笑してる。
 
 このクラスに男の子はぼくだけ。

 でも毎日楽しい。
 服のこと、メイクのことたくさん話せてる。
 
 きっと……それは。

 さっちゃんが最初に話しかけてくれたおかげ。
 みんなもぼくのことをすんなり受け入れてくれた。
 みんな洋服を作ったりするのが好きだからたろうが男なのを気にする人はいない。

「たろう、男の子だよ?」
「だから?服作るのに関係なくない?好きなものを追求してるだけっしょ」

 さっちゃんはそう言ってくれた。
 みんなもたろうのことを服を作るための仲間として見てくれてる。
 完全に女友達のノリで話してくれるからぼくも楽しく服の勉強ができてる。
 
「これもう1つ同じクマある?2つで1つ?」

 さっちゃんは、ぼくがつけてるクマちゃんをみてそう言った。
 その時に凪紬くんのこと、そして凪紬くんが持ってるクマちゃんと合わせたら手を繋いだようになってることを話した。

「なにそれ。超いい話じゃん。私そんな話大好きだわ。なつくん?わかった。なっちゃんね!私、たろーとなっちゃんの恋応援する」

 作業してるテーブルで話してたら、さっちゃん勢いよく立ち上がって腕を上げた。
 他のテーブルにいた子達もびっくりして「なに、なに?」と寄ってきた。

 さっちゃんがテンション高いままに凪紬くんの話をした。みんな口々に、「そんな話、うちら大好き。胸キュンじゃ――ん」なんて言ってくれた。
 その日から、さっちゃんを中心にぼくは応援してもらってる……らしい。
 

「あの……たろうも凪紬くんも男なの」
 勇気を出してみんなに話した。

「なんか問題ある?いいじゃん?」
 きょとんとした顔してるさっちゃん。

「たろーが好きな人が悪い人なわけないんだし、好きになった事実が大事だよ」
「そんなの関係ない!だってたろーとなっちゃんお互いのこと大切なのはわかるもん。もしたろーになにか言うやついたら、うちらとっちめてやるから」

 そんな風に言ってくれる。
 さっちゃんがぼくの肩を叩く。

「たろーは、そんなの気にしなていいの。好きなものは好きと言わなきゃ」

 そういってくれた。 
 さっちゃんを中心にしてみんなが話してる姿を見ながらそんなことを思い出してた。

 
「よし!今から授業あるから昼休み、みんな集合!たろーが告白できるようにみんなで作戦会議しよっ!」
 さっちゃんがそう言って周りの子達も「賛成!任しといて!」なんで言いながら授業を受けるため机に戻って行った。



 昼休みぼくはみんなに囲まれてる。
「作戦会議するよぉ」
 とさっちゃんが言ってみんなが次々に集まってきた。



「たろーポンコツなのはもう確定としてぇ、とりあえず告白できる雰囲気作るのいいんじゃない?」
「やっぱりここはもうストレートに好きと言えばよくない?」

「いやでも……なっちゃんもう好きぐらいじゃ驚かなくない?たろー日々なっちゃんに抱きついてるわけだし」
「インパクトあることしたいよねぇ」

「とりあえず抱きついて好きって言ってみてなっちゃんの様子みる?」
 さっちゃんを中心にみんなが話してる。

 それにつられるようにみんなどんどん意見を出してくれる。
 凪紬くんと会ったことないのに、なっちゃんなんて呼んで友達みたいに接してくれてる。
 
「とりあえずたろーは今日帰ってなっちゃんに抱きつくとしてぇーその反応で告白しちゃうしかなくない?」
「あっ!いいこと思いついた!」

 さっちゃんが椅子から立ち上がってみんなの前にはいっ!と手を挙げる。

「うちらやっぱりもの作るのが得意じゃん?ここはもうたろーがなっちゃんに向けて何か作ってそれ贈るのがよくない?」
「それいいー!」
「沙月さいっこぉー!」
「いいじゃん!」

 みんなさっちゃんの意見に賛成と手をぱちぱちと叩き始める。

「てことで、たろーはなっちゃんに告白するため何か作ること」
 話はまとまったと満足そうな顔したさっちゃんがたろうにビシッと指差してそう言ってくる。
 
「たろうが凪紬くんにつくる?それなら……」
 
 ぼくと凪紬くんをずっと繋いでくれてるのは入学式の時につけてたあのくまさん。
 あれがきっかけでたろうと凪紬くんは仲良くなれた。
 

「たろう……高校の時に凪紬くんとお揃いでつけてたクマちゃんをもう1回作る!凪紬くんがつけてたクマちゃんとたろうのクマちゃんを手を繋がせて2つで一個にする」
 
 これしかない!

 ぼくもそう思って椅子に座ってたのを立ち上がってみんなに説明する。

 みんなも、うん、うんと話を聞いてくれた。
 
「いいじゃん!それいい!たろーとなっちゃんの絆感じるし、たろーの気持ちも伝わる」
 
 さっちゃんがそう言ってくれてた。
「それ最高!」
「そんなのもらって告白されたら胸キュンどころじゃないって」
「たろーがんばれ!」
 みんなもそんな風に応援してくれた。
 
「たろー頑張れ。なっちゃんそれもらったら嬉しいと私思うよ。たろーにしかできないことじゃん」
 
 さっちゃんがたろうの隣にきて肩を叩いてそう言ってくれた。


 (たろう、決めた!)

 あのくまちゃんを新しく作る。
 お洋服も今のぼくと凪紬くん風にする。

 クマちゃん同士を手を繋がせて2体で1つに見えるデザインにする。
 ぼくの中でイメージしたクマちゃんをさっそく絵に描く。
 

 (よし……これを作って凪紬くんに、たろうの気持ち伝える)