あれから何回かたろちゃんを送りに行ってみた。
青い髪の女の子を探してるけどまだ見つけられてない。
さっちゃんのこと……知りたいけど、焦っても仕方ないと頭を切り替える。
それよりも、たろちゃんとぼくの距離をもっと近づける方がいいな。そう考えることにした。
最近は、たろちゃんにピッタリとぼくがひっついて一緒に作業したり話したりする時間を増やしてる。
たろちゃんいつも嬉しそうに笑ってくれてるけど、ぼくのこと意識してる?伝わってると思い、もう一つ作戦を追加してみた。
夜帰ってきたら、両手を広げてたろちゃんを待ってみる。
たろちゃんがぼくに抱きつきにくるようにしてみた。
これでたろちゃんもっとぼくを意識してくれるかな。なんて思ってる。
今日は、2人でお出かけをした。
昨日たろちゃんにコーディネートしてもらった服を着てる。
たろちゃんもお揃いで買ったシャツを着てくれてる。
2人で一緒を共有できてるのが、なんだか特別な気がして嬉しい。
朝から気になってた喫茶店でご飯を食べて、そのままモールに行ってお互い必要な買い物をするために別れた。
授業で必要なものを歩いて探していく。
たろちゃん、ぼくが飲んでるコーヒー飲んでみた。そう思ってくれてたんだ。
さっきのやりとりが浮かんできて、必要なものを探しながら笑みが浮かんでくる。
(そっか……たろちゃんそう思ってくれてたんだ)
たったそれだけのことなのに、たろちゃんがぼくと同じものを飲みたい。
そう思ってくれた、その事実が嬉しい。
たろちゃんが飲めるようにするにはなんて考えながら、お目当ての物も見つけた。
それを買って、たろちゃんがいる本屋に向かった。
あれって……。
本屋の入り口に入ろうと思った足が止まる。
青い髪……。
あれ……。
さっちゃん……?
たろちゃんの肩をバシバシ叩いてる。
たろちゃんも嫌がってない。
……。なんか……。
すごく……仲良さそう……。
頭の中では……、会わなきゃと思うのに……。
足が、本屋の入り口とは反対の方向に向く。
体が……自然と……動いていた。
本屋の入り口に背を向けて……。
歩き出す。
あの駅での2人が重なる。
今日も親しげだった。
足が重くて歩くのもきつくて、目の前にあるベンチに座り込む。
(たろちゃん……の1番……ぼく……だよ……ね)
胸の中に不安が込み上げてくる。
たろちゃんの中でぼくが1番じゃない日がくる?
考えたこともなった。
足元が崩れ落ちていくような感覚になる。
カバンの中が振動してる。
きっと…たろちゃんだ。
買い物終わったんだ。
たろちゃんの電話取らなきゃ。そう思うのに体が動かない……。
ぼくとたろちゃんが離れる日がくる?
そんなこと考えたこともなった。
ガツンと頭を殴られたようなそんな感覚になった。
ううん。
たろちゃんはぼくのこと1番って言ってくれた。
その言葉をお守りみたいに何度も心の中で唱える。
(……このまま……逃げる?)
ほんの一瞬……弱い考えが顔を出してくる。
下を向いた時、今着てる服が目に入った。
(そうだ……これ)
今日ぼくが着てる服はたろちゃんがぼくのためにコーディネートしてくれた。
お揃いのシャツを着てる。
シャツをじっと眺める。
この服のコーディネートにたろちゃんの気持ちが詰まってる。
ぼくのことを考えてたろちゃんが選んでくれた服。
(この服を見てもまだ弱気でいるの?ぼくは?)
自分に問いかける。
そして……。
静かに首を振る。
むり。
たろちゃんから離れるなんて絶対嫌だ。
それに……ぼくはたろちゃんとずっと一緒にいたい。
一緒にいるんだ。
ベンチから立ち上がった。
(逃げるなんてぼくらしくない。悩むのもぼくらしくない。何弱気になってんの)
自分に喝を入れる。
(たろちゃんに聞こう。ここで、座ってても解決しない)
よし。とゆっくり頷く。
カバンからスマホを取り出してたろちゃんに電話をかけた。
たろちゃんと合流して、牛乳を買って帰ることにした。
「凪紬くん大丈夫?疲れた?」
合流して一番にたろちゃんは電話に出なかったぼくを心配してくれた。
「ううん。大丈夫。でも早くぼくたちの家に帰ろう」
そうたろちゃんにそう伝える。
(帰ったら……聞いてみる……曖昧にするなんてぼくらしくない)


