翌朝、母親は私に一切話しかけなかった。私が声をかけても無視をした。朝食の用意はしてくれたが、あとのことは自分でやるべきだと言外に語っていた。彼女の態度から察した私は、学校に行っている間にどうやって許してもらうべきかを思案した。だが結局なんの考えも浮かばないままに夕方になった。できるのなら家には帰りたくなかった。Dを誘ってどこか公園で時間を潰そうとしたものの、Dは別のクラスの友人と遊ぶと言い出して早々に退却してしまった。私がどうしても今日、二人で過ごしていたのだと伝えても了承してくれなかった。そこにはある種の冷たい棘のようなものが含まれていた。私に言葉を投げかけるごとに、彼のその棘もこちらに飛んできているかに思われた。まさか、彼の父からお金を盗んだこともばれているのではあるまいか、という不安も込み上げてきた。私はついに一人で帰路につくことになる。
家には帰りたくないものの、小学一年生がどこで持て余した時間を潰せると言うのだろう。町を彷徨うだけのお金や時間的余裕もない。一五時に学校が終わり、一七時は門限になる。どこへ向かうことも叶わない。この当時の私は、当然かもしれないが家出をすると言う考えは露ほども浮かばなかった。それはお金を十分に与えられていないせいかもしれないし、親に縋っていたいと言う子供ながらの考えに思考が支配されていたせいかもしれない。いずれにせよ、私はあの家に帰らなくてはならない。これからどのような目に遭ったとしても、親と絶縁される未来がもし見えていたとしても、一旦は戻らなくてはならない我が家なのだ。
それに、私がしっかりと家に帰ると言うのにはわずかながら勝算もあった。依然は一度、窃盗が発覚して両親から殴られたが、結果としては許されたのだ。今回も説教を堪えれば許してくれるのではないか、そんな気がしていた。
家には帰りたくないものの、小学一年生がどこで持て余した時間を潰せると言うのだろう。町を彷徨うだけのお金や時間的余裕もない。一五時に学校が終わり、一七時は門限になる。どこへ向かうことも叶わない。この当時の私は、当然かもしれないが家出をすると言う考えは露ほども浮かばなかった。それはお金を十分に与えられていないせいかもしれないし、親に縋っていたいと言う子供ながらの考えに思考が支配されていたせいかもしれない。いずれにせよ、私はあの家に帰らなくてはならない。これからどのような目に遭ったとしても、親と絶縁される未来がもし見えていたとしても、一旦は戻らなくてはならない我が家なのだ。
それに、私がしっかりと家に帰ると言うのにはわずかながら勝算もあった。依然は一度、窃盗が発覚して両親から殴られたが、結果としては許されたのだ。今回も説教を堪えれば許してくれるのではないか、そんな気がしていた。

