ここで断っておきたいのだが、私の職業とやらについて細かい描写を省かせてもらいたい。私はこの手記において自分自身を赤裸々に語って中身を全て打ち明けようと心を決めているのには違いないのだが、話が長くなるし無駄な労力を咲く羽目になってしまう。これを読んでいる、いわば読者の皆さんにも無駄な時間を取らせたくない。はっきり言って面白くもなんともない。
また、これを読まれては不都合な人間というのもいる。言わずもがな、私と同じ職場で働く人たちだ。彼ら、彼女らが読むかもしれないこの文章に、職場の説明書きなどしたくはない。申し訳ないが、ここは『観光業で接客を中心とした職場』であるという部分だけ明記させてもらう。
話は少し逸れてしまったが、とにかくそのようにして、接客を中心とした職場に彼女は入社を希望し、希望が叶ったのである。同じ部署ということになり、彼女には同期が二人いたがいずれも年下ということで、私とある程度話すような関係になっていった。補足していなかったが、その部署には彼女と、私だけが同じ年齢だった。
彼女からの他愛のない雑談が増えるにつれて、私にはある考えが浮かび上がってきた。観念と、言って良いかもしれない。そう、自惚れだ。
「彼女はひょっとしたら、僕を好きなのかもしれない」
これだ。これが失敗の、おそらく『原因』のビー玉であるかもしれない事象だ。
太宰治の小説には『トカトントン』というものがあって、そこにはこんな一説がある。
「思えば思われるというのは、あるのでしょうか」
厳密にこうだったかは思い出せない。何せ最後に読んだのはもう半年も前のことだ。だがここで重要なのはことわざの部分だ。「思えば思われる」と、これが厄介を起こした種である。
きっと彼女には私に打ち明けられない本心があって、それは恋心なのではないかという、根拠薄弱の自信がみなぎってしまった。笑い話にはなる。いや、笑いも起こらないかもしれない、こんな話。とにかくそういうわけで、私には到底理解されない目論見が持ち上がったのだ。彼女を手中に収めることが出来てしまうではないか、という目論見だ。今にして思えば、やめておけばよかったと後悔している。そんな計画は何にもならないじゃないか。けれど、行動を起こしてしまったのだから仕様がない。
私の手始めに行ったのは、彼女の行為を見極めるという行いだ。彼女がこちらに話をかけてくれないものか、気を揉んで一日を過ごした。最初の何日かは、私が思っていた以上の成果を得ることができた。彼女は己の失敗談だの、仕事で困ったことを相談しに来て、しかもそれは、私をはっきりターゲットとして狙い定めているような格好だった。
一例を書く。
また、これを読まれては不都合な人間というのもいる。言わずもがな、私と同じ職場で働く人たちだ。彼ら、彼女らが読むかもしれないこの文章に、職場の説明書きなどしたくはない。申し訳ないが、ここは『観光業で接客を中心とした職場』であるという部分だけ明記させてもらう。
話は少し逸れてしまったが、とにかくそのようにして、接客を中心とした職場に彼女は入社を希望し、希望が叶ったのである。同じ部署ということになり、彼女には同期が二人いたがいずれも年下ということで、私とある程度話すような関係になっていった。補足していなかったが、その部署には彼女と、私だけが同じ年齢だった。
彼女からの他愛のない雑談が増えるにつれて、私にはある考えが浮かび上がってきた。観念と、言って良いかもしれない。そう、自惚れだ。
「彼女はひょっとしたら、僕を好きなのかもしれない」
これだ。これが失敗の、おそらく『原因』のビー玉であるかもしれない事象だ。
太宰治の小説には『トカトントン』というものがあって、そこにはこんな一説がある。
「思えば思われるというのは、あるのでしょうか」
厳密にこうだったかは思い出せない。何せ最後に読んだのはもう半年も前のことだ。だがここで重要なのはことわざの部分だ。「思えば思われる」と、これが厄介を起こした種である。
きっと彼女には私に打ち明けられない本心があって、それは恋心なのではないかという、根拠薄弱の自信がみなぎってしまった。笑い話にはなる。いや、笑いも起こらないかもしれない、こんな話。とにかくそういうわけで、私には到底理解されない目論見が持ち上がったのだ。彼女を手中に収めることが出来てしまうではないか、という目論見だ。今にして思えば、やめておけばよかったと後悔している。そんな計画は何にもならないじゃないか。けれど、行動を起こしてしまったのだから仕様がない。
私の手始めに行ったのは、彼女の行為を見極めるという行いだ。彼女がこちらに話をかけてくれないものか、気を揉んで一日を過ごした。最初の何日かは、私が思っていた以上の成果を得ることができた。彼女は己の失敗談だの、仕事で困ったことを相談しに来て、しかもそれは、私をはっきりターゲットとして狙い定めているような格好だった。
一例を書く。

