公園には小さな滑り台とブランコがあるだけだった。よく団地の中に見られるような、子供からしても小さすぎるという印象の公園だった。二人の少年は公園に入り、アパートと公園を隔てる塀に手をかけた。私は渋々と言った体で、Dは積極的にそれを乗り越えようとした。私は手こずったものの塀の上に立つことができた。隣ではDがすでにいて、私に向けて遅いとかなんとか、馬鹿にしたようなことを言っていた。私たちは限られた足場の上で、短い間遊んでいた。ここが高層ビルの屋上で、落ちて行ったら死ぬのだと互いに言い聞かせ合いながら映画のワンシーンを演じた。Dは映画の主人公で、私は主人公を追い詰める仇敵といったところだ。お互い右手にピストルを持っているふりをした。まず足元を狙い射撃をした。それだけでふらついて落ちていかないのを見るや、今度は直接弾丸で相手を殺すのだと決めて胴体や頭を狙い始めた。想像上の弾丸が二人の間を行き交い、ちょっとの避ける動作をするだけで命中は避けられる。あくまでピストルを撃ち合っているアクションシーンを演じて楽しもうという遊戯だった。そのうちに熱中して喧嘩になるということもなく、我々は銃による決戦を楽しんでいた。私の中からも、人の住居に侵入するという後ろめたさが消えかかっていた。ちょうどそんな頃合いだった。私の目の前で、Dが足を滑らせたのだ。彼はランドセルの重量によって遥か下に感じられる地面まで引き摺り込まれるようにして落下した。落下する直前にDは私の方へ手を差し出したが、見えないものとして扱った。Dは頭から地面に激突した。
落下した彼を、すぐ見ることはできなかった。私はまるで自分が意図してDを落としたかのように周囲をぐるりと見回し、誰もいないのを確認してからようやく塀の下を見やった。アパートの敷地内にてDは倒れていた。悲鳴は上げなかったが、頭からは血が流れていた。流血するほどの痛みが原因だろう、涙も流していた。私はおそるおそる塀から降りて彼まで駆け寄った。Dは泣き顔のままだったが、なんでもないのだと強がりを言った。
「でも、血が出てるよ」
私が教えてやると、Dは自らの頭に手を置いた。べっとりとした血が指に付着し、それを見たDの顔がいよいよ戦慄した。帰ろうと彼は言った。家に帰ればお父さんがいるから、手当もしてもらえるはずだと言った。しかし彼は歩かなかった。立ち上がることすらしなかった。彼にしてみれば、こうして座り込んで痛みに耐えているのがやっとなのだ。だが私にしても、彼の家に帰るべきだという判断に異論はない、Dの言う通り、さっさと家に帰ればどうにでもなると思っていた。
落下した彼を、すぐ見ることはできなかった。私はまるで自分が意図してDを落としたかのように周囲をぐるりと見回し、誰もいないのを確認してからようやく塀の下を見やった。アパートの敷地内にてDは倒れていた。悲鳴は上げなかったが、頭からは血が流れていた。流血するほどの痛みが原因だろう、涙も流していた。私はおそるおそる塀から降りて彼まで駆け寄った。Dは泣き顔のままだったが、なんでもないのだと強がりを言った。
「でも、血が出てるよ」
私が教えてやると、Dは自らの頭に手を置いた。べっとりとした血が指に付着し、それを見たDの顔がいよいよ戦慄した。帰ろうと彼は言った。家に帰ればお父さんがいるから、手当もしてもらえるはずだと言った。しかし彼は歩かなかった。立ち上がることすらしなかった。彼にしてみれば、こうして座り込んで痛みに耐えているのがやっとなのだ。だが私にしても、彼の家に帰るべきだという判断に異論はない、Dの言う通り、さっさと家に帰ればどうにでもなると思っていた。

