私の家は小学校から歩いて二〇分と少しの場所にあり、Dの住んでいる家はそのちょうど通り道に位置していたため、時折立ち寄って遊んでから帰ることがあった。その日もDの方から誘いがかけられ、私は二つ返事でそこまで歩いて行った。道中、Dが公園の塀を乗り越えようとして失敗し足を滑らせ、地面に激突するというアクシデントが発生した。あの時、Dは普段決して通らない公園を指差して「家までの抜け道があるんだ」と誇らしげに話した。その公園はあまり人のいない小さな公園で、雑草は生え放題、塀を越えればアパートの駐車場につながっていた。不思議と小学生という生き物には、敷地や所有地という概念がない。物理的に通過できるのならばそれは立派な道だと思い込む習性がある。Dはその奔放さを発揮して、公園を通過しできるだけ早く帰宅しようという魂胆なのだった。私は反対した。幸か不幸か、小学生特有の奔放さが私にはなかった。人の敷地に無断で侵入し、通り抜けていくなど一種の犯罪であるのではないかという不安がどうしても拭い去れなかったのだ(それがどうして、窃盗という紛れも無い犯罪を犯してしまうのか、という矛盾が発生するのだろうが私には説明できない)。Dは少し腹を立てたようだった。軟弱な発言をする私を置いて一人先へと走っていく。仕方がない、と思って私も彼に続いた。

