春風、君を待つ

*
「なぁ、。ちゃんと一言言ったほうが良かったんじゃないのか、だって今日は、!」


だが、もう1人は歩みを止めず、頑なに首を横に振る。
「いやだめだ」
「もう3年だぞ!」
思わず声が大きくなる。焦りと苛立ちが混ざり合った視線が、相棒の横顔に向けられた。


しかし、言われた方は静かに前を見据えたまま、諭すように言葉を返す。
「そんなのあいつが一番よくわかってるよ、日常生活は問題なく送れてるじゃないか!だから大丈夫、大丈夫だよ。」
「んなこと言ったって、あんなこと続けてたら、いつかあいつもいってしまうんじゃないか……。」
募る不安を吐き出す吐息は重い。


「、、。俺らはさ、もうこのまま見守ることしかできないんだよ」
ぽつりと漏らした声には、諦めと決意が入り混じる。


「あいつは優しいから俺らの話ちゃんと聞いてくれると思う。でもさ、それじゃ意味ないんだよ。あいつ自身がどうにかしなきゃだめなんだよ、、!」
ぎゅっと拳を握りしめ、空を見上げる。


「無力だよなー、、。ただ、また元気に笑ってほしいだけなんだけどな」
その寂しげな横顔に、もう1人が力強く、包み込むようなトーンで言葉を重ねた。


「俺も一緒だよ。あいつが迷子にならないようにこれからもずっと繋ぎ止めていよう。それができる精一杯」
2人はうつむき、あいつの幸せを願いながら、日差しの暖かさの増す街へと歩みを進めていった。