僕が君を愛した証

 次の日の朝、もも子は少し早く家を出て、駅のロッカーに封筒を入れた。また返事が来ます様にと願った。
 今日の体育の授業は持久走だった。白の半そでと紺のハーフパンツの体育着に着替えて校庭に行く。とても天気が良く、五月にしては暑い日だった。
 先生の合図で一斉にスタートした。
 校庭を三周し、ふと空を見上げた時だった。自分の体の力が抜けていく感覚があった。気持ちでは走っているのに、足が動かない。
 その瞬間、もも子は勢いよく倒れた。
「先生!もも子が倒れた!」
 由夏が叫んでいる声が聞こえる。ザワザワしてみんなが寄ってきた。そんな光景がぼんやりと見えたが、もも子はそのまま意識をなくした。

 目を開けた時には、病院の天井が見えた。頭と体が痛い。自分の腕に違和感があり、目を向けると点滴がされていた。
「もも子!気づいたのね!」
 横には母がいた。その隣に医師の赤木先生もいた。
「もも子ちゃん、どうかな?気持ち悪くないかな?」
「はい」
「今、栄養の点滴を打ってるから、もう少し寝てていいからね。少しお母様とお話がありますので、もも子さんはゆっくり休んでいて下さいね」
 そういうと、赤木先生と母が出て行った。
 もも子は静かに目を閉じ、そのまま眠りについた。

 別室では、赤木先生と母が話し合っていた。
「もも子さんの体に、最近何か変化はありませんでしたか?」
「そうですね…痣が出来るとかは言っていました。何かあるんですか?」
 母は急に心配になり、右手をドキドキする胸にあてた。
「これから調べてみないと分からないのですが、筋肉の量が通常より少ない状態です。それから、ここに運ばれてきたときは、顔に痣があったんです。右頬からおでこにかけて広範囲でした。でも、先ほど見た時はその痣が消えていました。こんなことはあまり前例がないんです。少し入院して検査してみませんか?」
「えっ…」
 母は急なことで驚きを隠せなかった。
「調べてみて何もなければ安心ですし、一度調べてみましょう」
 母は承諾し、お願いすることにした。