僕が君を愛した証

 あれから二か月が経ち、ユウタが活動再開するとニュースが流れた。
「もも子、風弥君大丈夫そうだよ」
 春菜はもも子の遺影に話しかけた。写真のもも子は、純粋無垢な表情で笑っていた。

 ピンポンー

 家のチャイムが鳴った。
 インターホンを見ると、春菜は驚いてすぐに玄関へ向かった。
 玄関を開けると、淡い黄色のカーディガンに白いシャツ、デニム姿の風弥が立っていた。
 風弥をリビングに通し、もも子の遺影の前に案内した。風弥は正座して眺めた。
 もも子の遺影の周りには、小さい頃や高校生の頃の写真がたくさん飾ってあった。その横には黄色のひまわりが飾ってあった。もも子の可愛い笑顔の写真を風弥はじっと見つめた。
「もも子らしく明るくしたくて、仏壇はやめたんだ。可愛いお花を飾って、もも子が喜ぶようにしたの」
 春菜は風弥の横で話しかける。
「もも子ちゃん、いい笑顔ですね。生きてるみたい」
 風弥はもも子を思い出していた。春菜が横目で見ると、風弥はいい顔をしていた。
「今日は、もも子ちゃんに渡したいものがあって来ました。これ、もも子ちゃんに渡してもいいですか?」
 風弥は持っていたカバンから、一冊の大きな本のようなものを出した。
「これは?」
「僕の写真集です。もも子ちゃんに見てもらいたくて」
 春菜はもも子の写真を少しずらして、スペースを開けた。
「ここに置いてね。もも子、絶対喜ぶね」
「少し、もも子ちゃんとお話しても?」
「もちろん!私、ちょっと自分の部屋にいくから、ゆっくりしてって」
 春菜がその場を離れ、風弥はもも子と二人きりになった。
 一息ついて、もも子に話しかける。
「もも子ちゃん、手紙ありがとう。僕はもも子ちゃんがいなくなって、本当にどうなってもいいと思ってたけど、もも子ちゃんのおかげで、こうして生きてるよ。もも子ちゃんは、自分が辛いのに、僕の幸せを願ってくれていたんだね。そんな優しいところに僕は惚れたんだと思う。僕はちゃんと生き続けるよ。そして、もも子ちゃんのような優しい人になれるよう努力する。見守っていてくれるかな?」
 風弥の目から涙が溢れた。
「僕の人生は君に会って変わったんだ。本当にありがとう。もっと一緒に色んな所に言ったり、もっと一緒にいろんな体験をしたり、もっといろんな話をしたかった。桜井もも子さん、桃瀬風弥はあなたを本気で愛してます。きっとこれからも、あながのことが大好きです」
 風弥は泣きながら笑顔でもも子の写真を見た。もも子も笑っているようだった。風弥はそっと写真集をもも子に渡した。
「ニャー」
 その時、風弥の膝の上に、イチゴがちょこんと座ってきた。
「あっ、イチゴ」
 風弥は驚き、イチゴを抱っこしてぎゅっと抱きしめた。
「ニャー」
 イチゴは喜んでいるようだった。


 風弥の復帰作の写真集は、今までにない大ヒットをした。撮影場所となった所に沢山の人が訪れた。
 風弥ともも子が行った遊園地、星陵駅、そして、二人で行けなかった水族館。
 風弥がもも子の為に作った写真集だった。
 写真集の一番後ろのページに、一文が添えられていた。

 最愛 桜井もも子に捧ぐ