共有させて、ワカハちゃん

レイカの最後通牒を受け、佐藤は嵐の中を廃屋へと駆け戻った。しかし、そこには荒らされた跡があり、ワカハの姿はなかった。村人たちが、リゾート会社への「誠意」を見せるために、ワカハを密かに拉致し、本陣となる工事事務所へ連れ去ったのだ。

「……ワカハさぁぁん!!」

叫び声は雨音にかき消される。佐藤は、リンとミオの元へ走り、協力を仰いだ。

「……アンタ、本当に最後までバカね。でも、都会の女にこの村をめちゃくちゃにされるのは我慢ならないわ」

リンがバイクのエンジンを轟かせ、ミオがカポエイラの武器を手に取る。三人は深夜の工事事務所へと突入した。警備員たちをミオの蹴りがなぎ倒し、リンのバイクがバリケードを粉砕する。

奥の部屋にいたのは、純白のドレス――「商品」としての花嫁衣装を着せられ、猿ぐつわをされたワカハだった。

「……ワカハさん、今助ける!」

佐藤は彼女を抱き上げ、拘束を解いた。ワカハは涙を流しながら佐藤にしがみついた。

「……佐藤くん……私、怖かった。……私の体、またみんなの……『物』にされちゃう……っ」

「大丈夫だ。僕が……僕たちが、この村を守る。……因習からも、都会の資本からも、全部から君を奪い取ってやる!」

佐藤は追ってきたレイカと権藤たちを前に、力強く宣言した。それは、村の「共有」でも、都会の「消費」でもない、新たな「愛の独立」の宣戦布告だった。

「鎖されし 闇を切り裂く 銀の風 君を抱きて 我ら野に立つ」