共有させて、ワカハちゃん

そして、ついに「春雷祭」の夜が訪れた。

広場には巨大な篝火(かがりび)が焚かれ、村の全男子が上半身を晒して円(ホーダ)を作る。中央には、透けるような白装束に身を包み、虚ろな瞳で座るワカハの姿があった。

「……さあ、始めようか。都会の余所者による、無謀な『独占』の儀式を」

権藤の合図と共に、太鼓(アタバキ)の音が鳴り響く。最初の刺客として現れたのは、かつてワカハと深い関係にあった「共有の天才」ガクだった。

「佐藤くん。君に足りないのは、他者を受け入れる寛容さだ。……教えてあげるよ、この村の『本当の快感』をね」

ガクのしなやかな蹴りが佐藤の頬をかすめる。佐藤は低く構え、リンとミオから授かった「乱れたリズム」でそれを受け流した。

「……独占が罪なら、僕はいくらでも汚れてやる。……ワカハさんは、誰にも渡さない!」

雷鳴が轟き、大粒の雨が降りしきる中、血と汗と欲望が入り混じる最期の決戦が始まった。ワカハは祈るように手を組み、自分を奪いに来る唯一のリズムを、その瞳に焼き付けていた。

「春の雷(いかずち) 空を裂きても 離さじと 君を抱き抜く 独りのジンガ」