共有させて、ワカハちゃん

山を下りる途中、佐藤はワカハを連れ出し、雪深い森の奥へと逃げ込んだ。

「……佐藤くん、ダメだよ。……逃げても、村のリズムからは逃げられない……」

ワカハは抵抗しようとするが、佐藤は彼女の肩を強く掴み、その震える唇を奪った。それは、これまでの「お礼」としてのセックスではなく、一人の男として、一人の女を求めるための「契約」の口づけだった。

雪の上に倒れ込み、重なり合う二人。冷たい雪の感触が、二人の肉体の熱さをより際立たせる。

「……あ、っ……佐藤くんのジンガ、……すごく、乱暴で……でも、今までで一番……私の中に、届いてる」

ワカハは初めて、村の伝統的なステップではない、佐藤だけの不器用なリズムに合わせて腰を揺らした。

「雪原(ゆきはら)を 朱に染め抜きて ただ独り 君が名を呼ぶ 恋のジンガよ」

ワカハが詠み上げたのは、共有を拒絶し、孤独な愛を誓うための歌だった。だがその二人の背後では、ミオとリンが、そして村の大人たちの冷ややかな視線が、朝霧の中からじっと彼らを見つめていたのである。