共有させて、ワカハちゃん

吹雪の翌朝。ワカハの様子がどこかおかしいことに佐藤は気づく。彼女の首筋には、昨日まではなかった不思議な「朱(あか)い刻印」が浮かび上がっていた。

「……それ、村長が決めたの。ワカハは来春、村の『象徴』として、選ばれた男子たち全員と契(ちぎ)る……『花嫁の共有儀式』の主役に選ばれたのよ」

リンが苦々しく告げる。その儀式は、村の繁栄を願うための最も神聖で、最も過激な秘密の祭り。ワカハは一人の恋人になることを許されず、村全体の「公共物」としての役割を全うしなければならない。

「……私は、嫌じゃないよ。……佐藤くんも、その中にいてくれるなら」

ワカハは寂しげに微笑むが、その瞳からは一筋の涙がこぼれていた。都会の感性を持つ佐藤にとって、それは「救い」ではなく「地獄」の宣告だった。

「(……そんなの、絶対に認めない。君を、みんなのものになんかさせない!)」

佐藤の胸に、村の掟に真っ向から反逆する、初めての強い「独占欲」が燃え上がった。