共有させて、ワカハちゃん

その夜、山頂は大吹雪に見舞われ、寺の気温は氷点下まで下がった。暖房器具の一切ないこの場所で、唯一の暖を取る方法は、古くから伝わる「温め合い」のみ。

「……佐藤くん、……こっちに来て。……離れたら、凍っちゃうよ」

ワカハが古い布団の中で、震えながら佐藤を呼ぶ。だがそこには、すでにリンとミオも潜り込んでいた。狭い空間で四人の肉体が密着し、互いの体温を分け合う。

「(……っ、近すぎる……! 誰が誰のどこを触ってるのか、もう分からない……!)」

ワカハの柔らかな胸が背中に当たり、リンの熱い唇が首筋を這い、ミオの小さな手が佐藤の太ももをまさぐる。極限の寒さの中で、彼女たちの肉体は驚くほど熱く、生命の輝きを放っていた。

ワカハは佐藤の耳元で、かすれた声で一首を詠んだ。

「氷雨(ひさめ)降る 夜の褥(しとね)に 溶け合いて 誰(た)が体温(ぬくもり)か 分かたぬままに」

それは、個人の境界が消失し、ただの「生き物」として溶け合うことへの、甘美な諦念だった。