共有させて、ワカハちゃん

宴が最高潮に達し、いよいよ誰がワカハの「最初の手ほどき」を受けるかという不穏な空気が男子たちの間で漂い始めた時だった。

ワカハがふらりと立ち上がり、酔客をすり抜けて、部屋の隅で体育座りをしていた佐藤の元へ歩み寄ってきた。

「……佐藤くん。飽きちゃった。……空気が、薄いね」

耳元で、彼女の熱い吐息が触れる。周囲の男子たちは、ワカハが佐藤に何か「お礼」の使い走りを頼んでいるのだと思い込み、ニヤニヤしながら見守っている。

「……出ちゃおっか。二人で。……私、君のあの、今にも泣きそうな顔を、もっと近くで見たいから」

ワカハの声は、驚くほど軽やかで、それでいて有無を言わせない魔力があった。

彼女は佐藤の手をそっと握ると、誰にも気づかれないような自然な動作で、社務所の勝手口へと導いた。

「おい、ワカハちゃんどこ行くんだー?」という田中の声が遠くで聞こえたが、ワカハは振り返らず、佐藤の手を引いて夜の闇へと駆け出した。