共有させて、ワカハちゃん

村を包む空気は、熟れた果実が腐り落ちる直前のような、甘ったるくも不穏な熱を帯びていた。

豊作祈願祭。それはこの村の若者たちにとって、一年のうちで最も「境界線」が曖昧になる夜だ。

佐藤は境内の隅で、喉の渇きを覚えながらその光景を呆然と眺めていた。

中央の舞台に立つのは、巫女装束を纏ったワカハだ。だが、その姿は佐藤の知る「巫女」とはかけ離れていた。カポエイラの激しい動きを妨げないよう、緋色の袴には深いスリットが入り、彼女がジンガを踏むたびに、鍛え上げられた白い太ももが月光にさらされる。

(……うわああああああ、なんだあれ、格闘巫女!? けしからん、けしからんぞこの村の伝統!! なんだそのスリットは! 伝統工芸品か!? 美術館に飾るべき美しさだろ!!)

佐藤は脳内で絶叫し、溢れ出る鼻血をハンカチで拭うのに必死だった。

ワカハの舞は、神への奉納でありながら、同時にクラスの男子たちへの強烈なアジテーションでもあった。田中や他の連中は、最前列で目を血走らせ、彼女の「舞」が終わるのを、獲物を待つ獣のような目で見つめている。その視線には、崇拝と、それ以上の生々しい欲望が混ざり合っていた。