そして時は現在に戻る。
「そんなことが…」
慎太郎は開いた口が塞がらなかった。
「友人のために身代わりになったはずだったのに、その友人はなぜか不登校になって。担任も助けてくれないし、私にはもう頼る人がいないの!」
灯はぼろぼろと涙を流しながら訴える。
「だからもう放っておいてよ…」
「そりゃできねぇ相談だな」
「は?あんたこれだけきい…」
慎太郎が灯の言葉を遮る。
「だって全部ではないけど俺も知っちゃったもん。これだけ話を聞いて、放っておいてって言われて、はいそうですかなんて無理だ」
「じゃあどうするつもりなの」
「まぁまずは会いに行こう!」
「は?」
慎太郎と灯の前には大きな一軒家が建っている。
「ひぇ〜あいつ金持ちなんだなぁ」
「そ。家の中も立派でね、家政婦さん雇ってるらしいわ」
「ふーん、まぁそんな世間話はどうでもよくて。ほら行けよ」
「本当に行くの?だってあの日から連絡もついてないし、今日だって行くなんて言ってないし」
「そんなこと言ってたらいつまで経っても会えないだろ?ほら早く!」
灯がインターホンを押す。中からはーいという声が聞こえ、出てきたのは遥花の母親だった。
「あら!灯ちゃん!久しぶり!と…そちらは彼氏さん?」
「おばさん!お久しぶりです!あ、いえ全然。ただの付き添いです」
「あらそうなの。それで今日はどうしたの?」
「あの、遥花に会いたくて」
「遥花ねぇ…部屋に入るんだけど家でも塞ぎ込んじゃって出てこないのよ。どうしたのか聞いても答えてくれないし」
「それでもいいんです。ちょっとだけ話をさせてくれませんか?」
「えぇ全然構わないわ。どうぞ上がって。あなたもどうぞ」
「あ、いえ、僕は外で待ってますので」
「え、入らないの?」
「俺がいきなり言ってもびっくりするだろ?それに話したいこと話せないかもしれないし。ここで待つよ」
「そう。じゃあちょっと話してくるわ。ありがとう背中押してくれて」
「うん!しっかりやってこい!」
灯は少し微笑んだ。
「じゃあ遥花の部屋は2階の1番奥にあるから。ゆっくりしていってね」
「はい。すみません突然押しかけちゃって」
「いいのよ。あの子の気分転換にもなるだろうし」
灯は階段を登り、遥花の部屋の前で立ち止まる。いつも一緒に過ごしていた友人だが、こう改まると緊張する。
ノックをして声をかける。
「遥花。灯だよ。少しだけ話したくて来たよ。もしよかったら開けて」
「え、灯?どうしてここに」
弱々しい声が部屋の中から聞こえる。
「遥花!よかったぁ…」
声が聞けたことで緊張が少しほぐれた。
「ねぇ!開けてもいい?」
「待って!開けないで!」
「え…なんで…?」
「私はもうあなたに顔向けすることができないの。だから開けないで」
「嫌よ。そんな意味のわからない理由で断れてたまるもんですか」
灯は無理やり扉を開けようとする。
「待って待って!やめてって言ってるでしょ!」
「嫌だ!」
扉が思い切り開く。
「うそ…」
部屋の中にはストレスで痩せ細った遥花の姿があった。
「どうして…どうしてこんなことするの!もう顔も見たくなかったのに!」
「なんでそんなこと言うの!遥花を心配してここまできたのに!」
「身代わりになった上に心配…?どこまでお人好しなの」
遥花はハッとした。
「なんだ知ってたの?」
「う、うん。どんどんやつれていく灯を見て変だと思ったの。だからあの日教室から出ていく灯を尾行してたの。そしたらあの部屋に入っていく灯を見て確信したんだ。助けてくれたんだって。灯が顔色が悪くなり始めた日と私がセクハラを受けなくなった時期と被ってるし」
「そこまで知っててなんで急にいなくなったの?」
「私はセクハラを受けなくなって嬉しかったし、これからはいつも通り過ごせるって思ってた。でも、その横で身代わりになってる友人を見て…」
遥花は涙を流し始める。
「自分勝手なのもわかってるし、救ってくれたのに見捨てたみたいになって申し訳ないとも思ってる。でもあなたの横で普通に過ごしてはいけないって!笑ってる私を見て辛くなるのはきっと灯だから!だから、あなたの前から姿を消したの」
「そうだったんだ」
灯は遥花を抱きしめる。
「それでもね。1人にされたことが嫌だったんだ。隣で笑ってて欲しかった!」
「うぅ…ごめんね」
「それとね。もう一個だけ聞きたいことがあるの」
遥花は涙を拭いながら答える。
「なに?」
「もしよかったら遥花がセクハラを受けていた理由を聞きたくて」
「聞く?灯にはちょっと覚悟がいるかもよ?」
そして遥花の口から全ての真実が語られた。灯はその場に膝から崩れ落ち泣いていた。
「じゃあ全ての元凶は私ってこと…」
「別にそういうわけじゃないと思う。副校長はきっとそういうことができる相手を普通科の人間から探してたんだと思う。それがたまたま私たちってだけで」
「ごめんね!!!」
灯は遥花に思い切り抱きつく。
「ほんとにごめんね!1番辛かったのは遥花だよね!すぐに助けてあげられなくてごめんね!」
「落ちついてよ灯。もう大丈夫。またこうやって灯とお話しできて私は嬉しいよ」
「うわぁぁぁぁ!」
声を出して泣いたのはいつぶりだろう。こんなに本音を話して正解だと思ったのはいつぶりだろう。2人は涙が枯れ果てるまで泣き続けた。
「ちなみにさ、なんで今日来てくれたの?」
「んーまぁ色々わけがあるんだけどさ、あ、そうだ多分来てもらうのが1番良い!もう1人来てるんだけど家に入れても良い?」
「え?うんいいけど…」
玄関の扉を開けると落ち葉を踏んで遊ぶ慎太郎の姿があった。
「何してんの?」
「あ、いや。暇だったもんで」
「小学生か」
慎太郎は灯の顔を見て微笑む。
「その感じは解決したみたいだな」
「うん。おかげさまで。それでなんだけど慎太郎くんも遥花に会っていきなよ」
「え?俺はいいって言ったじゃん」
「いいからいいから」
無理やり家に入れられ遥花の部屋へ連行される。
「遥花お待たせー。今日ここに来た理由はこの人が原因なんだ」
「あれ?慎太郎くん?」
「久しぶり。元気だった?そんな感じはしないけど」
「まぁなんとか」
「さすが人望が厚いだけあるね。誰にでも名前と顔が知られてる」
「そりゃクラスメイトだし」
「それでなんで慎太郎くんが原因なの?」
「実はあの部屋に入る瞬間を見られててさ、そこを止めてくれたんだ」
へへっと笑い慎太郎はドヤ顔をする。
「放っておいてって言ってるんだけどしつこくてさ。慎太郎くんなら良いかなって思って全部相談したんだ」
「へぇ!じゃあ私たちの仲直りのきっかけを作ってくれたんだ!ありがとう!」
「ううん。全然気にしないで」
「てか、慎太郎くんがいなきゃ灯は私のとこに来てくれなかったんだ。へぇー」
遥花が頬を膨らませる。
「ちょっと!なんでそんなこと言うの!」
灯と遥花は心の底から笑っていた。
「ところで、俺はこの話を聞いてここで終わりたくないと思ってるけど2人はどお?」
「どおって?なんかするつもり?」
「2人の敵は大きくは副校長だけど俺たちの担任も問題だと思う」
「それは確かに…」
「今ここで2人が仲直りしたからって明日から灯へのセクハラが終わるわけじゃない。だったら訴えて根絶やしにするべきだと思わない?」
「うん…でも私たちは映像を撮られて脅されてる。その映像を世に出されたら…」
「うーん…」
「え?!なんか良い作戦あるんじゃなかったの?!」
「え?いやただ教師陣うざいなーって思って」
「何それ。やっぱあんた小学生だわ」
「おい!それは今関係ないだろ!」
「あるよ!さっき家の近くの落ち葉で遊んでたんだよ!」
「えぇ…」
「ちょっと遥花!引かないでよ!」
「えぇ…」
「おい!……まぁ気を取り直して、俺の頭では良い作戦が思いつかない。だからここからが相談だ」
「この話を俺の友人2人にしても良いか?」
「光輝くんと咲希ちゃん?」
「そうだ。あいつらなら頭もいいし、影響力もある。味方につけば心強い!」
「そうだね!ちょっと試してみる価値はあるかも」
「よっしゃじゃあ早速ここに呼ぶね!」
遥花の家についた光輝と咲希に全容が明かされる。
「あの副校長気持ち悪いわぁ!担任もクズだし!辛かったでしょ?よく頑張ったね」
「俺たちが呼ばれた理由はよくわかった。要するに作戦を立ててくれってことだな?」
「さっすが光輝!察しがいいぜ!」
「お前は勝手に首を突っ込んで人を巻き込んでることを反省しろ」
「はい。すみません」
「上手くいくかはわかんないけどとりあえずやってみよう」
「え!もう思いついたの?」
「あぁ」
光輝の顔つきが変わった。
「そんなことが…」
慎太郎は開いた口が塞がらなかった。
「友人のために身代わりになったはずだったのに、その友人はなぜか不登校になって。担任も助けてくれないし、私にはもう頼る人がいないの!」
灯はぼろぼろと涙を流しながら訴える。
「だからもう放っておいてよ…」
「そりゃできねぇ相談だな」
「は?あんたこれだけきい…」
慎太郎が灯の言葉を遮る。
「だって全部ではないけど俺も知っちゃったもん。これだけ話を聞いて、放っておいてって言われて、はいそうですかなんて無理だ」
「じゃあどうするつもりなの」
「まぁまずは会いに行こう!」
「は?」
慎太郎と灯の前には大きな一軒家が建っている。
「ひぇ〜あいつ金持ちなんだなぁ」
「そ。家の中も立派でね、家政婦さん雇ってるらしいわ」
「ふーん、まぁそんな世間話はどうでもよくて。ほら行けよ」
「本当に行くの?だってあの日から連絡もついてないし、今日だって行くなんて言ってないし」
「そんなこと言ってたらいつまで経っても会えないだろ?ほら早く!」
灯がインターホンを押す。中からはーいという声が聞こえ、出てきたのは遥花の母親だった。
「あら!灯ちゃん!久しぶり!と…そちらは彼氏さん?」
「おばさん!お久しぶりです!あ、いえ全然。ただの付き添いです」
「あらそうなの。それで今日はどうしたの?」
「あの、遥花に会いたくて」
「遥花ねぇ…部屋に入るんだけど家でも塞ぎ込んじゃって出てこないのよ。どうしたのか聞いても答えてくれないし」
「それでもいいんです。ちょっとだけ話をさせてくれませんか?」
「えぇ全然構わないわ。どうぞ上がって。あなたもどうぞ」
「あ、いえ、僕は外で待ってますので」
「え、入らないの?」
「俺がいきなり言ってもびっくりするだろ?それに話したいこと話せないかもしれないし。ここで待つよ」
「そう。じゃあちょっと話してくるわ。ありがとう背中押してくれて」
「うん!しっかりやってこい!」
灯は少し微笑んだ。
「じゃあ遥花の部屋は2階の1番奥にあるから。ゆっくりしていってね」
「はい。すみません突然押しかけちゃって」
「いいのよ。あの子の気分転換にもなるだろうし」
灯は階段を登り、遥花の部屋の前で立ち止まる。いつも一緒に過ごしていた友人だが、こう改まると緊張する。
ノックをして声をかける。
「遥花。灯だよ。少しだけ話したくて来たよ。もしよかったら開けて」
「え、灯?どうしてここに」
弱々しい声が部屋の中から聞こえる。
「遥花!よかったぁ…」
声が聞けたことで緊張が少しほぐれた。
「ねぇ!開けてもいい?」
「待って!開けないで!」
「え…なんで…?」
「私はもうあなたに顔向けすることができないの。だから開けないで」
「嫌よ。そんな意味のわからない理由で断れてたまるもんですか」
灯は無理やり扉を開けようとする。
「待って待って!やめてって言ってるでしょ!」
「嫌だ!」
扉が思い切り開く。
「うそ…」
部屋の中にはストレスで痩せ細った遥花の姿があった。
「どうして…どうしてこんなことするの!もう顔も見たくなかったのに!」
「なんでそんなこと言うの!遥花を心配してここまできたのに!」
「身代わりになった上に心配…?どこまでお人好しなの」
遥花はハッとした。
「なんだ知ってたの?」
「う、うん。どんどんやつれていく灯を見て変だと思ったの。だからあの日教室から出ていく灯を尾行してたの。そしたらあの部屋に入っていく灯を見て確信したんだ。助けてくれたんだって。灯が顔色が悪くなり始めた日と私がセクハラを受けなくなった時期と被ってるし」
「そこまで知っててなんで急にいなくなったの?」
「私はセクハラを受けなくなって嬉しかったし、これからはいつも通り過ごせるって思ってた。でも、その横で身代わりになってる友人を見て…」
遥花は涙を流し始める。
「自分勝手なのもわかってるし、救ってくれたのに見捨てたみたいになって申し訳ないとも思ってる。でもあなたの横で普通に過ごしてはいけないって!笑ってる私を見て辛くなるのはきっと灯だから!だから、あなたの前から姿を消したの」
「そうだったんだ」
灯は遥花を抱きしめる。
「それでもね。1人にされたことが嫌だったんだ。隣で笑ってて欲しかった!」
「うぅ…ごめんね」
「それとね。もう一個だけ聞きたいことがあるの」
遥花は涙を拭いながら答える。
「なに?」
「もしよかったら遥花がセクハラを受けていた理由を聞きたくて」
「聞く?灯にはちょっと覚悟がいるかもよ?」
そして遥花の口から全ての真実が語られた。灯はその場に膝から崩れ落ち泣いていた。
「じゃあ全ての元凶は私ってこと…」
「別にそういうわけじゃないと思う。副校長はきっとそういうことができる相手を普通科の人間から探してたんだと思う。それがたまたま私たちってだけで」
「ごめんね!!!」
灯は遥花に思い切り抱きつく。
「ほんとにごめんね!1番辛かったのは遥花だよね!すぐに助けてあげられなくてごめんね!」
「落ちついてよ灯。もう大丈夫。またこうやって灯とお話しできて私は嬉しいよ」
「うわぁぁぁぁ!」
声を出して泣いたのはいつぶりだろう。こんなに本音を話して正解だと思ったのはいつぶりだろう。2人は涙が枯れ果てるまで泣き続けた。
「ちなみにさ、なんで今日来てくれたの?」
「んーまぁ色々わけがあるんだけどさ、あ、そうだ多分来てもらうのが1番良い!もう1人来てるんだけど家に入れても良い?」
「え?うんいいけど…」
玄関の扉を開けると落ち葉を踏んで遊ぶ慎太郎の姿があった。
「何してんの?」
「あ、いや。暇だったもんで」
「小学生か」
慎太郎は灯の顔を見て微笑む。
「その感じは解決したみたいだな」
「うん。おかげさまで。それでなんだけど慎太郎くんも遥花に会っていきなよ」
「え?俺はいいって言ったじゃん」
「いいからいいから」
無理やり家に入れられ遥花の部屋へ連行される。
「遥花お待たせー。今日ここに来た理由はこの人が原因なんだ」
「あれ?慎太郎くん?」
「久しぶり。元気だった?そんな感じはしないけど」
「まぁなんとか」
「さすが人望が厚いだけあるね。誰にでも名前と顔が知られてる」
「そりゃクラスメイトだし」
「それでなんで慎太郎くんが原因なの?」
「実はあの部屋に入る瞬間を見られててさ、そこを止めてくれたんだ」
へへっと笑い慎太郎はドヤ顔をする。
「放っておいてって言ってるんだけどしつこくてさ。慎太郎くんなら良いかなって思って全部相談したんだ」
「へぇ!じゃあ私たちの仲直りのきっかけを作ってくれたんだ!ありがとう!」
「ううん。全然気にしないで」
「てか、慎太郎くんがいなきゃ灯は私のとこに来てくれなかったんだ。へぇー」
遥花が頬を膨らませる。
「ちょっと!なんでそんなこと言うの!」
灯と遥花は心の底から笑っていた。
「ところで、俺はこの話を聞いてここで終わりたくないと思ってるけど2人はどお?」
「どおって?なんかするつもり?」
「2人の敵は大きくは副校長だけど俺たちの担任も問題だと思う」
「それは確かに…」
「今ここで2人が仲直りしたからって明日から灯へのセクハラが終わるわけじゃない。だったら訴えて根絶やしにするべきだと思わない?」
「うん…でも私たちは映像を撮られて脅されてる。その映像を世に出されたら…」
「うーん…」
「え?!なんか良い作戦あるんじゃなかったの?!」
「え?いやただ教師陣うざいなーって思って」
「何それ。やっぱあんた小学生だわ」
「おい!それは今関係ないだろ!」
「あるよ!さっき家の近くの落ち葉で遊んでたんだよ!」
「えぇ…」
「ちょっと遥花!引かないでよ!」
「えぇ…」
「おい!……まぁ気を取り直して、俺の頭では良い作戦が思いつかない。だからここからが相談だ」
「この話を俺の友人2人にしても良いか?」
「光輝くんと咲希ちゃん?」
「そうだ。あいつらなら頭もいいし、影響力もある。味方につけば心強い!」
「そうだね!ちょっと試してみる価値はあるかも」
「よっしゃじゃあ早速ここに呼ぶね!」
遥花の家についた光輝と咲希に全容が明かされる。
「あの副校長気持ち悪いわぁ!担任もクズだし!辛かったでしょ?よく頑張ったね」
「俺たちが呼ばれた理由はよくわかった。要するに作戦を立ててくれってことだな?」
「さっすが光輝!察しがいいぜ!」
「お前は勝手に首を突っ込んで人を巻き込んでることを反省しろ」
「はい。すみません」
「上手くいくかはわかんないけどとりあえずやってみよう」
「え!もう思いついたの?」
「あぁ」
光輝の顔つきが変わった。
