恋知らぬ冷徹官僚と薄幸のかすみ草

 最初は、妾の子だったと彼女の口から聞くと、複雑だった。

 俺は、妾という存在が嫌いだ。今でも父もその妾の存在も恨んでいる。きっと、一生許しはしない。

 だが、虐げられてる彼女を見ていると、彼女が義母と呼ぶ存在が彼女を恨む気持ちも理解できる半面、彼女の健気さに守ってやりたいと思う自分もいた。

 妾の子は、ただ身勝手に男女の間で作られた存在。それなのに恨まれるのは、理不尽だと言うのもわかっている。

 それでも、身分も低い分、誰も彼女を守ろうとなんて思わない。ここに彼女が来た当初は俺も同じだった。

 それなのに、彼女の人柄に触れる場面が沢山あった。食事の時はどれも初めて食べるものだからか、嬉しそうに、幸せそうに、驚いた顔まで見せてくれる。それでいて夜は、艶っぽく、美しくて、控えめな態度が惹かれる。

 この間、彼女が刺繍入りのハンカチを渡してきた時は、あまりにも健気で思わず抱き寄せたくなったほどだった。

 俺は知らず知らずに彼女に惹かれ、彼女にいろいろなものを与えたい、喜ぶ顔が見たい。その一心で菓子や珍しいものを毎日買って帰るようになった。

 彼女はいつも物を貰う度、困惑しつつも嬉しそうに顔を綻ばせる。その瞬間を見るのが、好きだった。