恋知らぬ冷徹官僚と薄幸のかすみ草

 隣に座る旦那様を見ると、彼は少し私に身を寄せ、そっと肩を抱いた。それから結んでいた髪を解く。

 緊張で身を固めていると、旦那様は私の髪をそっと手で掬い、耳に優しくかける。触れ方が以外にも優しくて、くすぐったくて、びくっと体を揺らす。

 私の反応を見た旦那様は、私の体を横たわらせ、ネグリジェの上からそっと腹を撫でた。


「…いつ、どこで買った? こんなもの。嫁入り前に買ったのか?」

「いえ。こういうのを持たせてくれる家族はいませんので…。旦那様に外着がいると仕立て金をいただいた時に…」

「…そうか」


 静かに会話を交わすと、気に入ったのか私の腹辺りを何度も撫でている。上下にゆっくり。

 その間彼の視線は、私の顔へと向いていた。私も同じように視線を合わせると、熱が上がる。


「……悪くないな」

「え?」

「お前の妹が夜伽が来た時は、こんな女抱きたくもないと嫌悪感がしたが、不思議と、お前にはそそられる」


 そう言って、私の髪に顔をうずめ、口付けをする。

 複雑だった、妹と比べられることは。妹は私より四つも若く、そして愛らしい。どんな男性も彼女ならというと思っていた。

 その想いに対して、旦那様の反応はいいものだったかもしれないが、妹と比べられることにいい思いをしたことがない私は、褒められたとしても良い方向には考えられない。

 彼の意外にも繊細な愛撫に応えつつ、深まる夜を過ごす。