Ikikata〜君と私の違い〜

私は今日から高校2年生、つまり17歳。
後一年過ごせば成人式が待っている。
「瑠奈っち!」
進級の結果を一緒に見に行こうと約束していた三崎ゆいと日野天音だ。ドキドキしながら学校に向かう。すると、偶然、私たちの彼氏がいた。
「陸斗〜!」
そう言いながら駆け寄るのは三崎ゆい。
「葵!」
そう言いながら走っていくのは日野天音。
そして、
「駿!」
私は自分の彼氏である瀬川駿に駆け寄った。私たちは彼氏同士も彼女同士も仲が良いのだ。
「今日さ〜6人でカフェに行かね?」
そう提案したのはお調子者の陸斗だ。
「じゃあ、トリプルデートじゃーん」
私がそう返すと、みんなはケラケラと笑った。この6人といるときが私にとっていちばんの幸せだった。

学校に着くと、クラス分けの結果が貼り出されていた。その場所にみんながわらわらと群がっていた。
すると、ゆいが
「ちょっと写真撮ってくるよ!」
と言ってかけて行った。そして、陸斗もついていく。しばらくすると、ゆいが帰ってきた。
「ねね…クラス結果。ちょー残念なんだけど……」
ゆいがスマホの画面を見せてきた。私はクラス結果を凝視する。クラスは三つしかないから被る確率は高いはず……。
『日野天音…一組 藤野瑠奈…一組 三崎ゆい…一組 青沢陸斗…一組 笠原葵…二組 瀬川駿…二組』
と言う具合だった。
ゆいだけ彼氏と同じクラスだ。
「いーなーっ」
「交換しようよーうっ」
私と天音がゆいにそう詰め寄ると、ゆいは少し困惑した表情を浮かべていた。
「まぁ、隣のクラスにいるんだから別によくね?」
ゆいの彼氏の陸斗がそう口を挟む。その言葉を聞いて、私も天音も少し落ち着きを取り戻した。そのあとは特に会話もなかった。みんな静かに教室に向かう。
「じゃあ、葵…またねっ!」
「駿もまたあとでね!」
私と天音はそう彼氏に言う。すると、陸斗が私たちの肩をポンと叩いてきた。
「放課後のトリプルデートが楽しみだな!!」
陸斗はこちらを向いてニッと笑った。6人が同じクラスになるのはきっとないだろうけど、今回のクラス分けは最高のものだと私は感じていた。

教室に入るとすぐに先生が入ってきた。学校でも結構人気な女の先生だ。先生は黒板に名前を書き始めた。
「皆さん知っているかもしれませんが、私の名前は鈴木彩葉です。これからよろしくお願いします」
先生がそう挨拶をすると、みんなは「お〜!」と歓声をあげた。私は、
「彩葉先生!」
と言った。すると、周りの人も「彩葉先生」、「彩葉ちゃん」と口々に言い始めた。先生はずっとニコニコしていた。
「さあさ、皆さん、学級委員長を決めなければならないのですが…立候補する人はいませんか?」
先生がそう言った。すると、すぐに三崎ゆいと青沢陸斗が手を挙げた。他に手を挙げる人は誰もいない。
(ゆい…彼氏とやるつもりだったのね……)
私は少しがっかりした気分になった。
「では三崎ゆいさんと青沢陸斗さんに決定しました。二人は今後の話し合いの内容を伝えるので、あとで職員室に来てくださいね。えっと…では、全校集会があるので、急いで並んで行ってください」
先生はそう言って、そそくさと教室を出て行った。すると、学級委員長が前に出てくる。
「皆さん、並んでください」
ゆいがそう言った。みんなはのそのそと廊下に出る。
「瑠奈っち〜行こ〜」
天音が駆け寄ってきた。私は天音の手をしっかりと握る。そして廊下に出る。
「じゃあ、このまま行ってくださーい」
ゆいがまた指示を出す。私にさらにがっかりがのしかかってくる。
ゆいが私たちのところに合流してきた。
「ゆいすごいじゃん!」
天音がゆいを褒め始める。ゆいは「えへへ〜」と言って笑っている。私は、その態度にさらにがっかりした。そして、
「天音には分かんないの?!彼氏がいるからこんなことができるんだよ?!」
私がそう言うと、天音は黙ってしまった。ゆいはどう言ったらいいのかわからないという表情を浮かべていた。
(あ…言いすぎた…)
私は即座にそう思って、
「ごめんっ!全然本心じゃないからね…?」
私がそう言うと、ゆいも天音も止まった時間から解放されたように、
「なんだ〜!」
「声が結構ガチトーンだったからビビったわ!」
と言った。
私は何を話せば良いのかわからなかった。

「天音!!」
「瑠奈!」
駿と葵が走ってきた。一気に嬉しさがます。
「さ、カフェに行こうぜ!!」
陸斗がそう言った。
私は笑顔を向けた。みんなでカフェに行くのは久しぶりだったからだ。しかも、今日行くのは新しくできた「カフェ・バタフライ」だ。開店直後にも関わらず、密かに人気を集めているカフェ。
(内装がおしゃれらしいんだよなぁ…楽しみっ)
私は心の中でぴょんぴょん跳ねていた。

みんなとわいのわいのと歩いていると、周りの人達が私たちに目を向けてくる。聞こえてくる言葉は、
『あの集団、レベル高っ』
『あれ、彼女持ち?』
『彼氏持ちかな…?』
みんなの探りを入れるようなものばっかりだ。
『なんであの子があそこにいるんだろ』
誰かがふと言ったその言葉。それは私たち全員に聞こえた。
(私かな……)
私がふっと下を向くと、駿が背後にきた。そして私の耳をキュッと押さえた。
「何も聞こえない!」
そう屈託のない笑顔で笑った駿。
(やっぱりこういうところが好きなんだよね……)
「ありがとう、駿」
そう言うと、駿はにっと笑った。私はその笑顔に笑みを返した。

「おーすげぇ!!」
「カフェ・バタフライ」は不思議な空間だった。ガーリーでおしゃれかと思ったら、クールでかっこいい一面もある。いろいろな性格が混じっているようだった。そして、雑貨屋さんもあり、それがより一層このお店を引き立てている。
「これとか、お揃いでどう?」
ふと、そう呟いたのは天音だ。天音の手には小さな動物のキーホルダー。他にもたくさん種類があるらしい。
「好きな動物でお揃いにしよう!」
他のみんなも賛成した。私はウサギを選んだ。駿はチーター。買ったあと、みんなで話し合ってリュックにつけることになった。リュックにつけると、絆が深まった気がした。
私はふと、みんなに感謝を伝えたくなった。

「今日はありがとう!楽しかった!!!」

私がそう笑って言うと、みんなが集まってきた。
「私も楽しかった!」
と言うのはゆい。
「今日でお別れじゃないのに、なんか寂しいんだよな〜」
そう言うのは陸斗。
「また次遊びたいね!」
そう言うのは天音。
「今度はもっと激しめのところがいい」
と言うのは葵。そして、
「また明日な」
そう言うのは駿だった。
(この日、楽しかったことはきっと永遠に忘れないだろうな…。こんな大切な友達と一緒に行った日のことだもん…)
私は静かに夕陽を見つめた。夕陽に照らされてリュックのキーホルダーが光っていた。