こうして森を出る機会も失くし、リーナとウィルの2人での生活が続くことになった。
「リーナっておばあさんなのに、話し方がおばあさんっぽくないよね。」
何かの拍子にそんな話題になった。
「だって、私16歳だもの。」
「え?」
固まったウィルに、リーナはこれまでの経緯を説明した。
「そんなことが・・・。魔女のこと恨んでないの?」
ウィルに聞かれリーナは即効首を振った。
「先生は最期、必死の形相で私をかばってくれたのよ。先生を恨む気持ちなんて全くないわ。」
16歳の少女が一瞬にして、こんな老婆の姿に変えられたのだ。
ウィルは納得がいかず反論しようとした。
そんなウィルの唇にリーナは人差し指をあて笑った。
「先生に見つけてもらえず、あのままデイビッド叔父さんの家で生活してたら、早かれ遅かれ心か身体のどちらかが死んでたわ。先生はあの地獄から私を救い出してくれて、私を愛して平穏で幸せな生活を与えてくれたの。」
「でも・・・」
「本音を言えば、砂になるんだったら私も一緒に連れて行ってくれたらよかったのにと最初は少し恨んだこともあったわ。でも、先生のお墓を作れたし、この家の中の整理もできて、ゆっくりと最期を迎える準備が出来て今は良かったと思ってる。なにより、ウィル。あなたに会えたわ。」
リーナはくしゃくしゃの顔をさらにくしゃくしゃにして嬉しそうに笑った。
※
ある日、ウィルが起きるとリーナにお使いを頼まれた。
「あ、ウィル。おはよう。鶏小屋から卵を2つ取って来てくれる?」
「はーい。」
ウィルが台所に戻ると、リーナはネギを切っていた。
トントントントン
「切るの上手だね。」
「先生は家事が苦手だったし、ずっとやってるからね。」
調理するリーナを見ていると、ネギを押さえる左手の親指に金色の指輪がはまっているのが目に入った。
「前から思ってたんだけど、その指輪どうして親指につけてるの?」
ウィルの母や侍女は、みんな薬指や中指につけていた気がする。
「これは先生の形見なのよ。先生は不老とかそういう研究をしていたから、その関係の魔道具の一つみたい。」
「ただの指輪に見えるけど、魔道具なの?」
「死ぬときにこれを身に付けていたら、次の生に転生できるらしいわ。」
リーナの言葉にウィルは顔をしかめた。
「嘘だよね?」
リーナは楽しそうに笑った。
「うふふ。私も半分疑ってるの。先生の魔道具って半分くらい眉唾ものだったもの。これは先生が亡くなった時、砂の中に残ってたの。先生は薬指につけてたんだけど、今の私の指には大きかったから親指につけているの。先生の形見としてね。」
リーナの話によく出てくる森の魔女は自由奔放で家事や家のことも全部リーナにやらせていて、とてもいい人の様には思えなかった。
それなのに、こんなにリーナに慕われて・・・。
ウィルは恨めしいような羨ましいような、よく分からない気持ちでリーナの親指に光る指輪を見つめていたのだった。
「リーナっておばあさんなのに、話し方がおばあさんっぽくないよね。」
何かの拍子にそんな話題になった。
「だって、私16歳だもの。」
「え?」
固まったウィルに、リーナはこれまでの経緯を説明した。
「そんなことが・・・。魔女のこと恨んでないの?」
ウィルに聞かれリーナは即効首を振った。
「先生は最期、必死の形相で私をかばってくれたのよ。先生を恨む気持ちなんて全くないわ。」
16歳の少女が一瞬にして、こんな老婆の姿に変えられたのだ。
ウィルは納得がいかず反論しようとした。
そんなウィルの唇にリーナは人差し指をあて笑った。
「先生に見つけてもらえず、あのままデイビッド叔父さんの家で生活してたら、早かれ遅かれ心か身体のどちらかが死んでたわ。先生はあの地獄から私を救い出してくれて、私を愛して平穏で幸せな生活を与えてくれたの。」
「でも・・・」
「本音を言えば、砂になるんだったら私も一緒に連れて行ってくれたらよかったのにと最初は少し恨んだこともあったわ。でも、先生のお墓を作れたし、この家の中の整理もできて、ゆっくりと最期を迎える準備が出来て今は良かったと思ってる。なにより、ウィル。あなたに会えたわ。」
リーナはくしゃくしゃの顔をさらにくしゃくしゃにして嬉しそうに笑った。
※
ある日、ウィルが起きるとリーナにお使いを頼まれた。
「あ、ウィル。おはよう。鶏小屋から卵を2つ取って来てくれる?」
「はーい。」
ウィルが台所に戻ると、リーナはネギを切っていた。
トントントントン
「切るの上手だね。」
「先生は家事が苦手だったし、ずっとやってるからね。」
調理するリーナを見ていると、ネギを押さえる左手の親指に金色の指輪がはまっているのが目に入った。
「前から思ってたんだけど、その指輪どうして親指につけてるの?」
ウィルの母や侍女は、みんな薬指や中指につけていた気がする。
「これは先生の形見なのよ。先生は不老とかそういう研究をしていたから、その関係の魔道具の一つみたい。」
「ただの指輪に見えるけど、魔道具なの?」
「死ぬときにこれを身に付けていたら、次の生に転生できるらしいわ。」
リーナの言葉にウィルは顔をしかめた。
「嘘だよね?」
リーナは楽しそうに笑った。
「うふふ。私も半分疑ってるの。先生の魔道具って半分くらい眉唾ものだったもの。これは先生が亡くなった時、砂の中に残ってたの。先生は薬指につけてたんだけど、今の私の指には大きかったから親指につけているの。先生の形見としてね。」
リーナの話によく出てくる森の魔女は自由奔放で家事や家のことも全部リーナにやらせていて、とてもいい人の様には思えなかった。
それなのに、こんなにリーナに慕われて・・・。
ウィルは恨めしいような羨ましいような、よく分からない気持ちでリーナの親指に光る指輪を見つめていたのだった。

