流れ星見つけた

 それから二十年がたちました。

 アンナは大学を卒業し、国際機関の仕事をして忙しい日々を送っていました。

 アルプスの見える街に、世界各国の様々な団体の代表を迎え、国際平和について話し合う会議の資料を作る仕事です。

 アンナの机の上にはいろいろな国の書類が山積みになってアンナを悩ませています。

 みんな平和を願う気持ちは一緒なのに、なかなかひとつの考えにはなれないのです。

 そんな会議が間近にせまったある日の夜、たくさんの寄付をしてくれたホテル会社の書類を整理していた時です。

 アンナは書類の名前のサインの下に描かれたものに目がとまりました。
 眠い目をこすりその小さな絵をもう一度見て、誰が大事な書類のサインの下にこんな落書きをしたのだろう、と名前の横の写真を見てみました。

 するとアンナは思わず声を上げて驚きました。

「あ、この人はもしかして……マハラジャ?」

 もしやと思いつぎつぎに別の書類を確かめていくと、またその絵を見つけました。

 それは、世界各国の貧しい国の人のために医療活動をする団体の書類でした。

 礼拝堂でむかえにきてくれた、やさしいドクターの笑顔が思いうかびました。

 その絵を見つけるたびアンナはうれしくなり勇気が湧いてきました。
 アンナの頭を悩ませていた問題がとても小さなことのように感じ、アンナは書類のどこかにその絵を探すことに夢中になりました。

 きっと会議はうまくいく……!

 言葉も、文化も、国境も越えて。
 
 そんな希望を与えてくれる絵でした。

「また見つけた。ああ、こっちにも」

 そこには子供が描いたような星の形と三本の線、星がシューッと流れる絵が、小さくこっそりと描かれていたのです。




                                    おわり