次の朝、アラームより早く目が覚めた。
いつもより念入りに髪をセットし、いつもはつけない色付きのリップを塗った。
メイクはまだまだ勉強中で、可愛くできない。
もっと早くに練習しておくべきだった。
「いってきま〜す」
できるだけいつも通りの口調で言ったつもりなのに、ママに「今日はやけに機嫌がいいわね。何かいいことあるの? 彼氏でもできた?」と聞かれてしまった。
ママの言葉に朝食を食べていたパパがピクリと、反応する。
「彼氏なんていないよ〜」
困ったふうに言ったけど、また顔が熱くなったのがわかった。
「凛華は嘘がつけないわね」
ママが笑う。
「だから違うって!」
言えば言うほどパパが聞い耳を立てているを感じをしている。
彼氏はいない。でも少し知り合いになった寝癖君に会うのはドキドキする。
このまま話をすると、全てママに知られてしまいそうで、慌てて玄関のドアを開け急いで外に出た。
出る直前に、
「も、門限は6時だぞ! 暗くなるからな」
言い訳付きのパパの声がした。
一本早いバスに乗れたので、いつもより早く駅に着いた。
ホームで電車を一本見送る。
カバンからあまり使われたことのない鏡を出して、身だしなみをチェックした。
特に寝癖もなく、朝、髪用の美容液をつけてきたので艶もある。
ローファーも磨いてきた。
スカートの皺もないかチェックもした。
もう一度前髪を見直し、鏡をカバンにしまった時、電車がホームに入ってきた。
ふぅ〜と深呼吸して、いつもの電車。いつもの車両に乗った。
雪乃は私の一つの駅から乗るので、もういる。
そして寝癖君と弟君も一緒にいて雑談までしている様子。
「おはよ〜」
いつもと変わりない感じで、いつも通りの少し眠そうな雪乃の姿を見て、『大物だな』と感心する。
寝癖君といえばいつも通り、寝癖満開でなんだかホッとした。
寝癖君の寝癖で、少し緊張がほぐれた。
「凛華いい感じになってる」
褒められたのか、いじられたのか微妙な雪乃の言い回しに、ムッと唇を尖らせたけど頬が熱くなる。
「凛華ちゃん、おはよ」
雪乃の次に声をかけてくれたのは弟君。
小麦色の肌に白い歯が覗く。
なんとな〜く近くにいる女子達の視線が刺さるような気がする。
「おはよ、凛華ちゃん」
次は寝癖君。
弟君の時は大丈夫だったのに、寝癖君に「おはよう」と言われると、顔がさらに熱くなるのがわかった。
女子の視線も鋭くなったのもわかった。
「お、おはよ……」
まさか『寝癖君』とは言えない。
「あ、こちら『下村秋人』君」
雪乃が弟君の紹介をする。
「なんと彼は中学2年生!」
弟君こと秋人君がエヘヘとはにかむ。
「中学ニ年生!?」
見上げるほどの背の高さは、どう見ても身長は175センチぐらいある。
この身長でまさかの中ニ。
すごい成長。
「そしてこちらが『下村春人』君。私達と同級生です」
雪乃が寝癖君こと春人君の紹介をしてくれた。
「そしてこちらが私の親友『松本凛華』ちゃん。春人君と同じ高校二年生」
春人君と秋人君に紹介してくれる。
「と、紹介はこれぐらいかな?」
雪乃が紹介を締めようとすると、
「俺、余計なことは言ってないよ」
と秋人君。
秋人君が言う『余計なこと』は、私達が春人君のことを『寝癖君』と呼んでいたことだと思う。
いらないことを言うな! と言うように秋人君は雪乃に睨まれると、さっと春人君の影に隠れた。
「秋、また変なことを言ったんだな」
春人君の勘違いで、秋人君が私達に変なことを言ったことになっている。
その勘違いのまま、話を流してしまおう。
私と同じことを雪乃も思っていたようで、にこりと微笑むだけ。
「じゃあ凛華ちゃんも揃ったことだし……」
春人君は手に持っていた二つの紙袋を一つずつ、私と雪乃の前に差し出す。
「これ、昨日のお礼。すごく助かったから、受け取って」
紙袋のロゴを見ると、百貨店に入っているお店のもの。
「ここのパイ、美味しいよ」
ひょこりと秋人君が顔を出す。
「わぁ〜、ここのパイ有名だよね。私も大好き」
お菓子好きの雪乃は知っているみたいだけど、私は見たことはあるだけで食べたことはない。
それがちょっと恥ずかしかった。
「甘いもの苦手なんだけどさ、俺、ここのは大好きなんだ」
春人君が言う。
ここにいる四人の中で、食べたことがないのは私だけ。
なんだか肩身が狭い。
「俺、初めて食べたのついこの間だから、偉そうなことは言えないんだけどさ」
私の表情がおかしかったのか、気づかってか春人君がフォローのように言ってくれた。
思い過ごしかもしれないけど、嬉しい。
「これを渡したくて、昨日変なこと聞いちゃって……。知らない男子に声をかけられたらびっくりするよね。なんだかごめん」
眉尻を下げて、春人君が苦笑する。
それもまた絵になるし、春人君が思ってるのと真逆なびっくりしました。
美形は何をしても絵になるな、と思っていると、
「こうしてせっかく知り合いになれたんだし、これから一緒の電車に乗って登校しない?」
何を思ってか、雪乃が爆弾発言をした。
「「「え!?」」」
私、春人君、秋人君、三人同時に聞き返し、一瞬春人君の顔色が曇った。
「だって同じ電車の車両に乗ってるんだもん。また明日から知らんぷりとかおかしくない?」
確かに雪乃の言っていることは正しいのかもしれない。
それに私も明日から知らんぷりは寂しい。
でもでも、そんなことになったら私の心臓が爆発しそうだし、周りの視線も……。
チラリと周りにいる女の子達を見ると、横目でギロリと睨まれている。
雪乃の提案に、三人とも黙っていた時、
「それいいね」
春人君が言った。
「雪乃ちゃんの言う通り、知り合いになれたのも何かの縁。明日から一緒に途中まで登校しよう」
ニコリと春人君が微笑む。
「春兄、本当にいいの?」
と秋人君が言うと、
「大丈夫」
と春人君。
何が秋人君は何に心配してて、春人君は何に大丈夫って言ったのかわからなかったけど、私はとにかく嬉しい。
本当に〜!? と心の中で私の声が叫ぶくらい嬉しい。
やばい、春人君と知り合いになれただけじゃなくて、一緒に登校できるなんて!
神様、本当にありがとう!
幸福感が周りの女の子達の鋭い視線なんか弾き飛ばしてしまうほど、嬉しくて早く明日になって欲しかった。
いつもより念入りに髪をセットし、いつもはつけない色付きのリップを塗った。
メイクはまだまだ勉強中で、可愛くできない。
もっと早くに練習しておくべきだった。
「いってきま〜す」
できるだけいつも通りの口調で言ったつもりなのに、ママに「今日はやけに機嫌がいいわね。何かいいことあるの? 彼氏でもできた?」と聞かれてしまった。
ママの言葉に朝食を食べていたパパがピクリと、反応する。
「彼氏なんていないよ〜」
困ったふうに言ったけど、また顔が熱くなったのがわかった。
「凛華は嘘がつけないわね」
ママが笑う。
「だから違うって!」
言えば言うほどパパが聞い耳を立てているを感じをしている。
彼氏はいない。でも少し知り合いになった寝癖君に会うのはドキドキする。
このまま話をすると、全てママに知られてしまいそうで、慌てて玄関のドアを開け急いで外に出た。
出る直前に、
「も、門限は6時だぞ! 暗くなるからな」
言い訳付きのパパの声がした。
一本早いバスに乗れたので、いつもより早く駅に着いた。
ホームで電車を一本見送る。
カバンからあまり使われたことのない鏡を出して、身だしなみをチェックした。
特に寝癖もなく、朝、髪用の美容液をつけてきたので艶もある。
ローファーも磨いてきた。
スカートの皺もないかチェックもした。
もう一度前髪を見直し、鏡をカバンにしまった時、電車がホームに入ってきた。
ふぅ〜と深呼吸して、いつもの電車。いつもの車両に乗った。
雪乃は私の一つの駅から乗るので、もういる。
そして寝癖君と弟君も一緒にいて雑談までしている様子。
「おはよ〜」
いつもと変わりない感じで、いつも通りの少し眠そうな雪乃の姿を見て、『大物だな』と感心する。
寝癖君といえばいつも通り、寝癖満開でなんだかホッとした。
寝癖君の寝癖で、少し緊張がほぐれた。
「凛華いい感じになってる」
褒められたのか、いじられたのか微妙な雪乃の言い回しに、ムッと唇を尖らせたけど頬が熱くなる。
「凛華ちゃん、おはよ」
雪乃の次に声をかけてくれたのは弟君。
小麦色の肌に白い歯が覗く。
なんとな〜く近くにいる女子達の視線が刺さるような気がする。
「おはよ、凛華ちゃん」
次は寝癖君。
弟君の時は大丈夫だったのに、寝癖君に「おはよう」と言われると、顔がさらに熱くなるのがわかった。
女子の視線も鋭くなったのもわかった。
「お、おはよ……」
まさか『寝癖君』とは言えない。
「あ、こちら『下村秋人』君」
雪乃が弟君の紹介をする。
「なんと彼は中学2年生!」
弟君こと秋人君がエヘヘとはにかむ。
「中学ニ年生!?」
見上げるほどの背の高さは、どう見ても身長は175センチぐらいある。
この身長でまさかの中ニ。
すごい成長。
「そしてこちらが『下村春人』君。私達と同級生です」
雪乃が寝癖君こと春人君の紹介をしてくれた。
「そしてこちらが私の親友『松本凛華』ちゃん。春人君と同じ高校二年生」
春人君と秋人君に紹介してくれる。
「と、紹介はこれぐらいかな?」
雪乃が紹介を締めようとすると、
「俺、余計なことは言ってないよ」
と秋人君。
秋人君が言う『余計なこと』は、私達が春人君のことを『寝癖君』と呼んでいたことだと思う。
いらないことを言うな! と言うように秋人君は雪乃に睨まれると、さっと春人君の影に隠れた。
「秋、また変なことを言ったんだな」
春人君の勘違いで、秋人君が私達に変なことを言ったことになっている。
その勘違いのまま、話を流してしまおう。
私と同じことを雪乃も思っていたようで、にこりと微笑むだけ。
「じゃあ凛華ちゃんも揃ったことだし……」
春人君は手に持っていた二つの紙袋を一つずつ、私と雪乃の前に差し出す。
「これ、昨日のお礼。すごく助かったから、受け取って」
紙袋のロゴを見ると、百貨店に入っているお店のもの。
「ここのパイ、美味しいよ」
ひょこりと秋人君が顔を出す。
「わぁ〜、ここのパイ有名だよね。私も大好き」
お菓子好きの雪乃は知っているみたいだけど、私は見たことはあるだけで食べたことはない。
それがちょっと恥ずかしかった。
「甘いもの苦手なんだけどさ、俺、ここのは大好きなんだ」
春人君が言う。
ここにいる四人の中で、食べたことがないのは私だけ。
なんだか肩身が狭い。
「俺、初めて食べたのついこの間だから、偉そうなことは言えないんだけどさ」
私の表情がおかしかったのか、気づかってか春人君がフォローのように言ってくれた。
思い過ごしかもしれないけど、嬉しい。
「これを渡したくて、昨日変なこと聞いちゃって……。知らない男子に声をかけられたらびっくりするよね。なんだかごめん」
眉尻を下げて、春人君が苦笑する。
それもまた絵になるし、春人君が思ってるのと真逆なびっくりしました。
美形は何をしても絵になるな、と思っていると、
「こうしてせっかく知り合いになれたんだし、これから一緒の電車に乗って登校しない?」
何を思ってか、雪乃が爆弾発言をした。
「「「え!?」」」
私、春人君、秋人君、三人同時に聞き返し、一瞬春人君の顔色が曇った。
「だって同じ電車の車両に乗ってるんだもん。また明日から知らんぷりとかおかしくない?」
確かに雪乃の言っていることは正しいのかもしれない。
それに私も明日から知らんぷりは寂しい。
でもでも、そんなことになったら私の心臓が爆発しそうだし、周りの視線も……。
チラリと周りにいる女の子達を見ると、横目でギロリと睨まれている。
雪乃の提案に、三人とも黙っていた時、
「それいいね」
春人君が言った。
「雪乃ちゃんの言う通り、知り合いになれたのも何かの縁。明日から一緒に途中まで登校しよう」
ニコリと春人君が微笑む。
「春兄、本当にいいの?」
と秋人君が言うと、
「大丈夫」
と春人君。
何が秋人君は何に心配してて、春人君は何に大丈夫って言ったのかわからなかったけど、私はとにかく嬉しい。
本当に〜!? と心の中で私の声が叫ぶくらい嬉しい。
やばい、春人君と知り合いになれただけじゃなくて、一緒に登校できるなんて!
神様、本当にありがとう!
幸福感が周りの女の子達の鋭い視線なんか弾き飛ばしてしまうほど、嬉しくて早く明日になって欲しかった。
