帰りの電車。
雪乃からもらったチケットを眺めた。
日にちは来週の日曜日。
インフルエンザは熱が下がって二日。短くても五日は家にいないとダメ。
でも来週の日曜なら行けるはず。
なのにどうして……。
その答えがわかったのは、家に帰って夕食を終えた時だった。
スマホの呼び出し音が鳴る。
発信者は春人君。
通話をタップする。
『もしもし』
春人君達に嘘をつていたから話すのが気まずい。
『凛華ちゃん、今大丈夫?』
「うん」
『体調どう?』
嘘をついた私を気遣ってくれる。
「よくなったよ」
はじめから胃痛なんてないのに、さらっとそう言える私に驚いた。
『よかった。雪乃ちゃん、インフルエンザだって聞いて、もしかして凛華ちゃんもそうなのかな? って思って』
「……」
春人君は雪乃がインフルエンザにかかったことを知っている。
春人君から連絡して訊いたの?
雪乃から連絡したの?
私からのメールには雪乃、既読にもならなかったのに、春人君からのメールは読んで返信したの?
春人君は雪乃がインフルエンザにかかっていることを知っている。
ただそれだけのことなのに、一つ一つが胸の中にできたトゲトゲした気持ちの突起に引っかかる。
『明日は一緒に、行けそう?』
「……」
春人君に会いたい。
でも今、こんな自分のことしか考えられない私では会えない。
前みたいに純粋に春人君也秋人君との登校を、遊ぶことを楽しみできていた頃の私じゃない。
こんな私を見て、春人君は幻滅しないだろうか?
『明日は、行ける?』
何も言わない私に向けて、春人君はもう一度言った。
「行けると……思う……」
行きたいけど、幻滅もされたくない。
本当の私を知って幻滅されたら、もう一緒に私とは行ってくれない。
それなら今、距離を置いて、言い思い出にしたほうがいいんじゃないだろうか……。
『明日もいつもの時間。いつもの電車の車両で待ってるから』
「うん」
少しの沈黙の後、「バイバイ」も言わずに通話を切った。
部屋の中の音が消えたような気がした。
すると、
ー逃げるの?ー
頭の中で自分の冷たい声がする。
逃げるんじゃない。
いい思い出にしたいだけ。
ーそれを逃げるって言うんだよー
フッと笑われた気がした。
違う!
何が違うのか説明がつかなくて、頭の中の声を消したい。
頭を左右に振る。
ー卑怯者ー
また声がする。
ー大親友の雪乃に嫉妬しておいて、自分は逃げるんだー
違う!
ー雪乃は何も悪くないのに、雪乃のせいで苦しくなてるって思ってない?ー
言われ、
「違う!」
耳を塞ぎながら叫ぶ。
でもわかってる。
私自身が一番わかってる。
違わない。
雪乃は何も悪くない。
春人君と秋人君と普通に話して、普通に接してるだけ。
なのに私が勝手にモヤモヤして、勝手に嫉妬している。
大事な大事な大親友に嫉妬している。
「もう……本当に嫌だ……」
こんな私になっていることが、本当に嫌だった。
雪乃からもらったチケットを眺めた。
日にちは来週の日曜日。
インフルエンザは熱が下がって二日。短くても五日は家にいないとダメ。
でも来週の日曜なら行けるはず。
なのにどうして……。
その答えがわかったのは、家に帰って夕食を終えた時だった。
スマホの呼び出し音が鳴る。
発信者は春人君。
通話をタップする。
『もしもし』
春人君達に嘘をつていたから話すのが気まずい。
『凛華ちゃん、今大丈夫?』
「うん」
『体調どう?』
嘘をついた私を気遣ってくれる。
「よくなったよ」
はじめから胃痛なんてないのに、さらっとそう言える私に驚いた。
『よかった。雪乃ちゃん、インフルエンザだって聞いて、もしかして凛華ちゃんもそうなのかな? って思って』
「……」
春人君は雪乃がインフルエンザにかかったことを知っている。
春人君から連絡して訊いたの?
雪乃から連絡したの?
私からのメールには雪乃、既読にもならなかったのに、春人君からのメールは読んで返信したの?
春人君は雪乃がインフルエンザにかかっていることを知っている。
ただそれだけのことなのに、一つ一つが胸の中にできたトゲトゲした気持ちの突起に引っかかる。
『明日は一緒に、行けそう?』
「……」
春人君に会いたい。
でも今、こんな自分のことしか考えられない私では会えない。
前みたいに純粋に春人君也秋人君との登校を、遊ぶことを楽しみできていた頃の私じゃない。
こんな私を見て、春人君は幻滅しないだろうか?
『明日は、行ける?』
何も言わない私に向けて、春人君はもう一度言った。
「行けると……思う……」
行きたいけど、幻滅もされたくない。
本当の私を知って幻滅されたら、もう一緒に私とは行ってくれない。
それなら今、距離を置いて、言い思い出にしたほうがいいんじゃないだろうか……。
『明日もいつもの時間。いつもの電車の車両で待ってるから』
「うん」
少しの沈黙の後、「バイバイ」も言わずに通話を切った。
部屋の中の音が消えたような気がした。
すると、
ー逃げるの?ー
頭の中で自分の冷たい声がする。
逃げるんじゃない。
いい思い出にしたいだけ。
ーそれを逃げるって言うんだよー
フッと笑われた気がした。
違う!
何が違うのか説明がつかなくて、頭の中の声を消したい。
頭を左右に振る。
ー卑怯者ー
また声がする。
ー大親友の雪乃に嫉妬しておいて、自分は逃げるんだー
違う!
ー雪乃は何も悪くないのに、雪乃のせいで苦しくなてるって思ってない?ー
言われ、
「違う!」
耳を塞ぎながら叫ぶ。
でもわかってる。
私自身が一番わかってる。
違わない。
雪乃は何も悪くない。
春人君と秋人君と普通に話して、普通に接してるだけ。
なのに私が勝手にモヤモヤして、勝手に嫉妬している。
大事な大事な大親友に嫉妬している。
「もう……本当に嫌だ……」
こんな私になっていることが、本当に嫌だった。
