「今年の七夕の日が来たのね……」
六花は憂いを帯びた表情で夜空を見上げる。
六花の家庭では、数あるイベントの中でことさら両親が気合いを入れていた日だった。
両親曰く、「年に一度だけ恋人同士がデートできる日なんて素敵じゃない~。全力で応援してあげなくちゃ!」ということらしい。
彦星も織姫も、別に外野からの応援は求めていないと思うのだが、まあ、両親が楽しそうならいいかと、六花は霞と一緒にせっせと短冊を作っていたものだ。
たまにそこへ暁天が飛び込んできて霞を怖がらせるなんてことも……。
本気で怖がられている霞は終始六花の後ろに隠れており、暁天は試行錯誤してご機嫌を取ろうとするも、最終的にはショックを受けながらしょんぼり帰っていくのだ。
普段六花はおちょくられる側なので、ざまあみろである。
暁天を暁天として見る者のいない当主の館に帰っていく背中を見ると、少々かわいそうな気がしないでもないが、霞には怯えられながらも、帰るまでの間しっかり楽しんでいたので問題はない。
そんな日が毎年当たり前のように続くと、六花も暁天も信じて疑っていなかった。
けれど、七夕の日にすべてが一変した。
両の手の平からこぼれ落ちるように、大事な両親は失われてしまった。
霞もまた、いつなにが起こってもおかしくはない
「――時雨。絶対にあなたを殺す」
六花は七夕の空に願いを込める。
※※※
そして同じ時、星がきらめく七夕の空を睨みつけるように眺めていた者がいた。
同じ七夕の日にすべてを奪ったあの男を捜し、夜の町をあてもなく歩き回っていたが、手がかりもなく見つけられるはずがなかった。
痛々しい氷雨を想い、叔父からは『もうやめなさい。兄さんも今のお前を望んではいないよ』と、諦めるように促されたが、できるはずがない。
許せるものか。
「地の果てまで追って、殺してやる」
氷雨はあやかしであることしか知らないあの男を見つけ出すと、星が瞬く空に誓う。
七夕の星空の下、まだ互いを知らぬふたりが出会い、物語が動き出すまであともう少し――。
六花は憂いを帯びた表情で夜空を見上げる。
六花の家庭では、数あるイベントの中でことさら両親が気合いを入れていた日だった。
両親曰く、「年に一度だけ恋人同士がデートできる日なんて素敵じゃない~。全力で応援してあげなくちゃ!」ということらしい。
彦星も織姫も、別に外野からの応援は求めていないと思うのだが、まあ、両親が楽しそうならいいかと、六花は霞と一緒にせっせと短冊を作っていたものだ。
たまにそこへ暁天が飛び込んできて霞を怖がらせるなんてことも……。
本気で怖がられている霞は終始六花の後ろに隠れており、暁天は試行錯誤してご機嫌を取ろうとするも、最終的にはショックを受けながらしょんぼり帰っていくのだ。
普段六花はおちょくられる側なので、ざまあみろである。
暁天を暁天として見る者のいない当主の館に帰っていく背中を見ると、少々かわいそうな気がしないでもないが、霞には怯えられながらも、帰るまでの間しっかり楽しんでいたので問題はない。
そんな日が毎年当たり前のように続くと、六花も暁天も信じて疑っていなかった。
けれど、七夕の日にすべてが一変した。
両の手の平からこぼれ落ちるように、大事な両親は失われてしまった。
霞もまた、いつなにが起こってもおかしくはない
「――時雨。絶対にあなたを殺す」
六花は七夕の空に願いを込める。
※※※
そして同じ時、星がきらめく七夕の空を睨みつけるように眺めていた者がいた。
同じ七夕の日にすべてを奪ったあの男を捜し、夜の町をあてもなく歩き回っていたが、手がかりもなく見つけられるはずがなかった。
痛々しい氷雨を想い、叔父からは『もうやめなさい。兄さんも今のお前を望んではいないよ』と、諦めるように促されたが、できるはずがない。
許せるものか。
「地の果てまで追って、殺してやる」
氷雨はあやかしであることしか知らないあの男を見つけ出すと、星が瞬く空に誓う。
七夕の星空の下、まだ互いを知らぬふたりが出会い、物語が動き出すまであともう少し――。



