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それから毎日量を増やして千輝は灰理の血を飲むようになった。
一滴から数滴、お猪口一杯分と徐々に量を増やしていく。
「最終的にはどの程度が必要になるのでしょう?」
「相手の瑛気を使用するという目的ならば、その者の半分の血は必要だといわれている」
「半分……ですか」
それは確かに失血死になるな、と灰理は思った。
「半分血を抜かれたらまず死ぬし、その量の血を飲むという行為も危険だ。瑛気が体に合わなかったら即死だろうな」
「それは禁忌になりますね」
「だが今回は双方の体に負担をかけないよう、一定量の血を毎日飲むことで回復を試みたい」
元々灰理の瑛気は強力であり、仮に血が体に馴染んだとしても強大な瑛気を流し込まれたら千輝の体が耐えられない可能性が高い。
ひとまずお猪口一杯分の血を毎日飲み続けることにした。
「幸い今のところ拒否反応は見られない」
「やはり血縁者の方が血が馴染みやすいのかもしれませんね。私が紫倉先生の血を飲んだ時、ピリピリと舌が痺れる感覚がしましたが」
「ちょっと待って」
それを聞いた千輝は眉をひそめる。
「優次郎の血を飲んだ?」
「あ、はい」
灰理はけろりと答える。
「私が先生の血を飲んだらどうなるか実験してみました」
「なんて危険なことをするのですか」
「ほんの舐める程度ですよ。それでも舌が痺れたので合わないとこうなるんだなぁと思って」
「優次郎も何故そんなことをさせたんだ」
「こいつがやるって聞かないから」
優次郎は肩を竦める。
「すみません。私の血が千輝様に馴染んでいるのか、確証が欲しかったのです」
「万が一あなたの身に何か起きたらどうするのですか」
「大丈夫です。私、死にませんから」
化け物のような能力にずっと嫌気がさしていたが、今は自分が不死でよかったと素直に思える。
そのおかげで千輝の役に立てているのだから。
「そういうことではないのですがね……。せめて優次郎ではなく、私の血にしてほしかった」
「あ、そうですね。千輝様の血を飲んだらどうなるのでしょう」
「やってみるか」
「いやだから、そういう意味では……」
やたらと乗り気な灰理に千輝は頭を抱える。
「なんだか灰理、たくましくなりましたね」
「え?」
「でも無理はしないでください」
「わかっています」
千輝に血を与えるということは自分自身も健康である必要がある。最近は料理人により栄養価のある食事にしてもらい、朝晩しっかり食べて睡眠も充分摂るようにしている。



