じりじりと肌を焼くような日差し。
頭皮から汗が伝う感触が気持ち悪く、持っていたタオルで乱暴に拭く。
日陰にいたところで何も解決にはならないが、眼前に広がるあまりきれいとは言えない海と白くはない砂浜に視線を向ける。
どこもかしこも、カップル、家族連れ、カップル、家族連れ、女の子グループ、カップルが成立しそうな男女グループ、である。
それを見ながら、隣に座ってかき氷を食べる太陽は明後日の方向を見ていた。
「……なぁ、海にカップルでくる必要ってある?」
「太陽だって、彼女と海に行くってリストに書いてあったじゃん」
自分の分のかき氷を溶けない内にと急いで食べ進めながら、幸弘は言う。
自分が出来ないからと言って、必要ないだなんて、これだから太陽は。
「ほら、あっちに女子だけのグループいるし、声かけてくれば? 声かけるの得意だろ?」
それをいわゆるナンパと言うのだが、太陽に「ナンパして来いよ」と言ったところで、声を掛けているという認識しかないらしく、ナンパじゃないと凄い勢いで否定されるのだ。
「……無理」
「は、どうした? 具合悪いのか?」
「だってさぁ、水着ってさ……下着みたいじゃん」
「……どういうこと?」
「下着みたいな恰好の女の子に近づくって、なんか……」
太陽の恥じらいはよく分からないところにあったらしい。
「水着ってさ、よく考えたらだいぶエッチだよな」
「……続けていいぞ」
「だってさ、ブラジャーとパンツと同じ形状してんだぞ。なのに、その恰好を外で見れるってだいぶヤバい」
ここに女子がいたら、ゴミみたいな目で見られたかもしれない。
「それに気付いちゃって、恥ずかしくて今女子に近づけない。無理」
「マンガについてるグラビア見るのに?」
「あれはさ、そういうもんじゃん? あってしかるべきものと言うか、見ていいものと言うか。けど、普通の女子がそういうのしてると、なんかな、……なんて言ったらいい? ユキは分かんないの?」
「俺? ……俺は、目の保養」
「ユキのむっつり」
「どこがむっつりだよ。今更、純情ぶるな」
もうほとんど水になってしまったかき氷を、ストローで吸う。
そろそろ、海に入って泳ぎでもしなければ暑すぎる。
「食い終わった?」
「あとちょっと」
空になった容器を壊れないようにフニフニと遊びながら、太陽が食べ終わるのを待つ。隣からズズズッという音が聞こえ、太陽が立ち上がる。
「プールのほうがよかったかな」
「なんで?」
「ユキとだったら、泳ぐの競争とかできるじゃん」
「プールのほうが無理だろ。ガチ泳ぎしてたら怒られる」
「つまんねぇの~」
空っぽの容器を二人でごみに捨て、灼熱の砂浜を「あっち! あち!」と叫びながら海まで駆ける。
ようやく入った海は生ぬるくて、あまり気持ちのいいものじゃなかった。
子供のころにも何度か来たことがあると言うのに、あの頃はもっと綺麗で、もっと気持ちよかったという記憶だけがこびりついている。
そのせいで、今日の海は首を傾げることしかない。
それは太陽も同じだったようで、こんなもんだったかなぁ、と小さく零しているのが聞えた。
『青春探し 海』
この日は、時折横で遊ぶカップルにげんなりとする太陽や、年上の女性に逆ナンされてカチコチになる太陽、迷子と一緒に泣きそうになっている太陽がいた。
女子が水着になるだけで、普段あれだけ女子と距離の近い太陽がスーッと距離を取るのは面白かった。
こんな太陽はいつまで見れるのかと思った。
幸弘
頭皮から汗が伝う感触が気持ち悪く、持っていたタオルで乱暴に拭く。
日陰にいたところで何も解決にはならないが、眼前に広がるあまりきれいとは言えない海と白くはない砂浜に視線を向ける。
どこもかしこも、カップル、家族連れ、カップル、家族連れ、女の子グループ、カップルが成立しそうな男女グループ、である。
それを見ながら、隣に座ってかき氷を食べる太陽は明後日の方向を見ていた。
「……なぁ、海にカップルでくる必要ってある?」
「太陽だって、彼女と海に行くってリストに書いてあったじゃん」
自分の分のかき氷を溶けない内にと急いで食べ進めながら、幸弘は言う。
自分が出来ないからと言って、必要ないだなんて、これだから太陽は。
「ほら、あっちに女子だけのグループいるし、声かけてくれば? 声かけるの得意だろ?」
それをいわゆるナンパと言うのだが、太陽に「ナンパして来いよ」と言ったところで、声を掛けているという認識しかないらしく、ナンパじゃないと凄い勢いで否定されるのだ。
「……無理」
「は、どうした? 具合悪いのか?」
「だってさぁ、水着ってさ……下着みたいじゃん」
「……どういうこと?」
「下着みたいな恰好の女の子に近づくって、なんか……」
太陽の恥じらいはよく分からないところにあったらしい。
「水着ってさ、よく考えたらだいぶエッチだよな」
「……続けていいぞ」
「だってさ、ブラジャーとパンツと同じ形状してんだぞ。なのに、その恰好を外で見れるってだいぶヤバい」
ここに女子がいたら、ゴミみたいな目で見られたかもしれない。
「それに気付いちゃって、恥ずかしくて今女子に近づけない。無理」
「マンガについてるグラビア見るのに?」
「あれはさ、そういうもんじゃん? あってしかるべきものと言うか、見ていいものと言うか。けど、普通の女子がそういうのしてると、なんかな、……なんて言ったらいい? ユキは分かんないの?」
「俺? ……俺は、目の保養」
「ユキのむっつり」
「どこがむっつりだよ。今更、純情ぶるな」
もうほとんど水になってしまったかき氷を、ストローで吸う。
そろそろ、海に入って泳ぎでもしなければ暑すぎる。
「食い終わった?」
「あとちょっと」
空になった容器を壊れないようにフニフニと遊びながら、太陽が食べ終わるのを待つ。隣からズズズッという音が聞こえ、太陽が立ち上がる。
「プールのほうがよかったかな」
「なんで?」
「ユキとだったら、泳ぐの競争とかできるじゃん」
「プールのほうが無理だろ。ガチ泳ぎしてたら怒られる」
「つまんねぇの~」
空っぽの容器を二人でごみに捨て、灼熱の砂浜を「あっち! あち!」と叫びながら海まで駆ける。
ようやく入った海は生ぬるくて、あまり気持ちのいいものじゃなかった。
子供のころにも何度か来たことがあると言うのに、あの頃はもっと綺麗で、もっと気持ちよかったという記憶だけがこびりついている。
そのせいで、今日の海は首を傾げることしかない。
それは太陽も同じだったようで、こんなもんだったかなぁ、と小さく零しているのが聞えた。
『青春探し 海』
この日は、時折横で遊ぶカップルにげんなりとする太陽や、年上の女性に逆ナンされてカチコチになる太陽、迷子と一緒に泣きそうになっている太陽がいた。
女子が水着になるだけで、普段あれだけ女子と距離の近い太陽がスーッと距離を取るのは面白かった。
こんな太陽はいつまで見れるのかと思った。
幸弘

