君と埋める八の項目

穏やかな雨音を聞きながら、ソファの上で寝転ぶ。
冷房のおかげで、外の湿気は感じることはないし、少し肌寒いがテーブルの上には温かいほうじ茶が湯気を立てて置かれている。

幸弘は目を閉じて、この家の中にあるもう一つの気配に耳を澄ませる。
忙しなく動く足音はようやくこちらへ向かってきているようだった。

「ユキ~、お腹空いてない? 何か作ろうか?」

「……そろそろ、座れば?」

二人して一時間ほど前に起きたのだが、それからずっと太陽はこんな調子だった。
せっせと幸弘の世話を焼き、この家を動き回っている。

上体を起こして、隣をポンポンと叩く。
すると、太陽はへにゃりと笑って、そこに腰を下ろして、すぐさま幸弘の膝に頭を乗せてくる。
当たり前のような一連の流れに吹き出した。

「まるで、定位置みたいだな」

「知らなかったのか? ユキの恋人になったおれのデフォルト体勢はユキの膝枕なんだ」

「ははっ、なら俺のデフォルト体勢はどうしようかな」

「ユキはおれに膝枕するのがデフォルト」

「却下」

そう言ったのにもかかわらず、太陽は幸せそうに幸弘の腰に巻き付いている。

「で、なんかいろいろしてるけど、終わった?」

「あぁ~、なんかな、そわそわしちゃって」

苦笑と共に漏らされた言葉に幸弘は首を傾げる。

「何かまだしたいことがあるわけ? 七個目の項目は梅終わったろ?」

「う~ん、したいことがあるそわそわじゃなくて、しちゃった~って言う……。あと、気恥ずかしかったのと、ユキに何か返してあげたかったのと……」

「だから、洗濯とか掃除とかし始めたわけか」

二人は七個目の項目をつつがなく……、いや、つつがなくは終わらせてはいないが、終わらせた。
きちんとできたかは置いといて、まぁ、それなりに幸福であったことは言っておこう。

「いつか、抱かせてくれたらいいって言ったじゃん」

「今できることで返したかったんだよ。ほら、明日にでもおれも抱かれる方やるよって、言い出せるかって言うと……うん、って感じだし。……ごめんなぁ」

「慣れてきたらでいいよ、別に」

太陽の髪に指を差しこんで、寝癖ができているところを梳く。
整えても整えても、やはり手櫛では限界があるようだ。

「今返せることで、ユキに何かしてあげたいって思ったら、そういうシーツの交換とか、お茶を淹れるとか、そう言う事しか思いつかなくて」

すりすり、と幸弘の腹に太陽が顔をこすりつけてくる。

「……なら、おばさんの料理覚えて」

「へ」

「ほら、大学行ったらおばさんの手料理食えないじゃん? だから、お前が覚えたらいいんだ」

「……分かった。本当に、母ちゃんの料理好きだなぁ」

「うん、好き」

「……今なら、料理にもやきもち妬けそう」

アホだな。
静まり返るリビングで、幸弘は外の雨音に耳を澄ませる。

今日の夏祭りは、来週に延期になったそうだ。
太陽はそれに対して、恋人とデートだなんて、青春だな、なんて言っていた。
自分の好きを自覚した太陽は浮かれているのだ。
自分の「ユキとしたらユキなんだ」という言葉も忘れて「特別じゃない」と言ったことすらも忘れて、青春だなんて。
幸弘だって浮かれてはいるが、太陽の現金さが可笑しくて、愛おしかった。

「……おれさ、ユキと七つ目が埋められて、ずっと一緒が本当になるっていう確証が持てたら、進路が一緒じゃなくても、遠距離になっても大丈夫かも、なんて思ってたんだ」

幸弘に頭を撫でられながら、眠そうに体の力を抜いていく太陽が話始める。

「四年くらいなら、月一で頑張って会えるなら、その先の将来を約束してもらえるなら……、おれ、頑張れるかなって思った」

でも、と泣きそうな、笑っているような、そんな声で続けられる。

「おれ、……やっぱ、むり。学部が違うことは別にいい。今だってクラス違うし……。けど、大学が違うとか、ユキに会いに行くために一時間以上かかるとか、やっぱりむり。こんなに、ユキの体温が気持ちいいなんて、知らなかったもん」

「……次のオープンキャンパス次第だろ。頼むから、俺といたいだけで、大学を決めるなよ」

幸弘の重い声に、太陽が苦笑する。

「おれがどうして、南央選んだか知ってる?」

「太陽は、新しいものとか、自由とか、おしゃれなものとかが好きだから……、校風とか、カフェとかラウンジとか? 自分のやる気のため」

「それもあるけど、一番はさ――試し行動」

言いづらそうに、恥ずかしそうに言葉は続く。

「南央がいいなって思ったのは本当。おれ、勉強嫌いだし、環境が良くないと絶対にもう行きたくなぁいって言いだすの自分で分かるし。……けど、まだ全然、ユキのことそういう好きとか微塵も考えてないとき、南央いいなって思った瞬間に、ユキと離れちゃうって思った。ずっと一緒って、無理なのかなって初めて考えた。しかも、ちょうどその時の彼女に進路のこと言われて……じゃあ、ユキは? って考えてたのも重なって」

あまり話したくないのだろう。
小さくなっていく声に幸弘は必死に耳を澄ます。

「試し行動って言ったって、無意識だから……怒らないでな。……無意識に、ユキが一緒に来てくれることを想像して、でも……、ユキはやっぱりユキだからさ、そんな甘くなくて、おれ……寂しかった。ユキは来てくれないんだって……ずっと一緒って言ったのにって。一緒に南央行くって言ってほしかった。だって、それって、おれを選んでくれたってことだろうから」

「……バカだ」

「うん。話せばよかった。そしたらきっと、ユキはおれのやりたいこととか、将来のこととか、自分のことの重なってる部分を見つけて、色々提案してくれたのにな。今、してくれてるみたいにさ……。おれの優先順位は、おれが勉強を続けられる環境と経済学部か情報学部。一人暮らしだから、家賃が安いとかもあれば嬉しいし、田舎すぎないところがいい」

「お前が……勉強を嫌がらずに続けられる環境って?」

太陽が幸弘の腹に埋めていた顔を上げ、眉を垂らして見上げてくる。
その瞳には懇願が浮かんでおり、どうしようもない呆れと、好きだという感情でいっぱいになった。

「南央みたいな環境も欲しいよ。けど、一番はやっぱりユキがすぐそこに居ることなんだ……。さすがに、もともと興味ないものとかはユキがいても続かないけど、勉強はさ将来必要だし、大事だから……。ユキがいれば……」

「明瞭は?」

「……古いからやだ。大学周りも何もないし……けど、ユキがいるから第二志望くらいにはなれるし、滑り止めにはちょうどいい」

「まだ、見てないけど星稜は?」

「おれ、パンフレットとかネットとかでは調べたよ。自由そうで、それなりに設備も整ってて、綺麗だったし、ラウンジもあった。おれの欲しい学部も両方ある。……この前、星稜を第一にしようって言ったけど、あれ冗談じゃないんだ。だいぶ本気。ユキはなんで、星稜が第二なの?」

太陽の問いに幸弘は言葉に詰まる。
けれど、太陽は内を晒した。怒られる覚悟で全部吐き出した。
ならば、幸弘だって怒られる覚悟をしなくてはならない。

「……本当は、星稜が第一」

「え?」

「……明陵の方がお前の学力的にちょうどいいから……。南央はギリギリだろ? なら、滑り止めに明瞭は最適で、絶対選ぶと思った。星稜は南央と偏差値は同じだし……」

太陽が第一志望の大学に落ちることを望んでいるわけではない。
ただ、もし、自分たちの未来がそうやって重なれば、とまだ太陽から好意を返してもらえると思っていなかった幸弘は思ったのだ。
ただの幼馴染みで、将来に関わる大学を同じにしたいだなんて重すぎる。

だから、仕方ないよね、落ちたから一緒なんだよ、結局こうなったな、なんていう理由が必要だった。
それが太陽に対して失礼であっても、言わなければ知られないし、言う必要なんてなかったのだ。

「……けど、別に第二でもいいじゃん。なんで、第一志望にするの」

「縁起が悪すぎるって怒るなよ……?」

太陽が頷いたのを確認して、重い口を開く。

「第二を第一にする理由が重くないから……。もし、もしだ。太陽が南央に落ちて、明瞭に行くってなったとき、俺の第一志望が星稜で、両方に受かってたら、わざわざ、それを蹴って明瞭に行く理由がさ……」

幸弘が星稜に行きたいのは、太陽とだいたい同じような理由だ。
気になる学科がある、校風、環境、設備、立地、すべてがちょうどよかった。
明瞭は歴史があるし、建物の建て替えなどがあって綺麗にはなったが、やはり太陽が滑り止めに選ぶかも、くらいの魅力しかない。

けれど、その「太陽が滑り止めに選ぶかも」という魅力は、星稜のすべての魅力よりも大きかった。
だからこそ、太陽が南央に受かれば明瞭など幸弘にとってどうでもよくなってしまう。
合ってはいるのだ。今の段階で、明瞭が第一志望というのは、合っている。
太陽が行く可能性のある大学として、その可能性があるならば、なくなるその瞬間まで明瞭が第一志望なのだ。
幸弘にとって、大学は学びたい学科があればどこでも同じなのだから。

「……ずっと一緒って言葉を太陽が覚えてるのかが分かんなかったから……。運試しみたいなものだった。もし、太陽が明瞭に行くなら……、それは俺がまだお前の隣にいてもいいってことだし、南央に行くなら……、ここまでだって」

あのころは、どちらでもよかった。
大学が同じなら、まだ隣にいられる幸福がある。
逆に、大学で別れるなら――これ以上、この不毛な気持ちを持ち続けるなということなのだと、解放されるのかもしれないと思った。

「ユキこそバカじゃん……。いや、おれもお前もバカだ」

「……お前と一緒にいたい。十六年も一緒にいたのに、今更……、会うために一時間以上かけないといけないとか、お前のスケジュールが分からないとか、会いに行ってもいいのかとか……。今更、そんなの我慢できそうにない」

鼻の奥がツンとして、幸弘は太陽から視線を逸らす。
太陽はのろのろと幸弘の膝から起き上がり、苦し気に歪んだ顔を肩に押し付けてくる。

「……恋人になったじゃん。口を出す権利、おれもお前も持ってるじゃん……。なのに、なんでこうなってからも言わないの」

「俺は、お前に俺のために人生決めてほしくない。選択肢は多い方がいいだろ? お前は何でもできるけど、何も続かない。だからこそ、お前が自分で選んだベストな環境でなら、好きでやりたいことが見つかるんじゃないかって思った」

人生に口を出す権利と太陽抜きで人生を考えなくていいという約束をもらった。
だからこそ、四年くらい我慢すればいいと思ったのだ。

「俺は太陽の選択肢を狭める存在になりたくない。……だから、ちゃんと選べ。大学を妥協で選ぶな」

「ユキだって、……妥協じゃん。もし、おれが南央に落ちて、明瞭に行くって言ったら明瞭にするんだろ? 妥協じゃん」

「妥協じゃない。俺は、勉強ができれば、どこでも同じだと思ったから。お前がいないなら、そりゃ、環境がいい方に行きたいよ。住みやすい方がいいし、綺麗な大学のほうが気分も上がるし。けど、太陽がいるなら、それだけで全部どうでもよくなる」

「それって、おれの選び方とどう違うんだよ……」

「……俺は、お前がいればどこでもいいけど、お前は俺がいたって、どこでもいいわけじゃない」

太陽が反論しようと幸弘の肩から顔をあげ、口を開こうとする。
けれど、幸弘は構わずに言葉を続ける。

「星稜は確かに、俺とお前の希望が満遍なくある。けどさ、実際見てみないと分かんないだろ。自由な校風で、設備も整ってて、ラウンジがあって、綺麗でって、けど、太陽の求めてるラインよりは下かもしれない。俺といられるなら、我慢できるラインかもしれない。けど、俺が理由でお前は続くのか? 大学自体は続くんだろうさ。けど、勉強に身が入るのか? 就活のために何かする気になるのか? 今まではクラスが違っても、勉強内容は一緒だった。けど、これからは違うかもしれない。俺は、情報学部に絞る。けど、お前はまだ決まってないだろ。もし、経済学部を選んで、星稜の環境が合わなかったら? お前は、大学に通うだけにならないって約束できるのか?」

分かっている。
そんなこと、今の太陽に分かるはずがない。

けれど、人生は学生を終えてからのほうが長いのだ。
幸弘は太陽が好きなことをして、楽しそうに笑っているのを見るのが好きだ。
だからこそ、幸弘が見たい太陽を将来に残すために今の選択を大事にしてほしかった。

「……っ、ユキ、……ふざけんなよ……。う、ぅ……っ」

何かを言おうと口を開き、言葉が出てこない太陽がようやく口にしたのはそれだった。
先ほどまで、あれだけ幸福そうに笑っていたのに。
腕に食い込む太陽の指先は白くなっており、その力の強さに顔を顰めた。

「いったじゃん……。おれ、お前がいない未来は上手く考えられないって……っ。別に全く興味のないところにお前がいるから行こうとしてるわけじゃないのに……。なんで、……おれだって考えてる! お前とどう一緒にいれるのか、ずっと考えてる!」

「……、」

「バカにすんな! 誰にバカにされたって、笑ってやるけど、お前がおれをバカにすんなよ!」

「バカにしてない! 太陽は何でもできるって知ってるのに、バカにできるわけっがないだろ!」

「なら、おれの選択を尊重しろよ! おれだって、おれが何も続かないこと知ってるんだ……。だから、どうすれば続けられて、将来、ユキと一緒に住むときに、ユキを幸せにできるか考えてるのに……、おれ、言ったじゃん。頑張るって……」

「……ぁ」

「ユキが関わることなら、頑張れるって……。四年、ユキがいないのは我慢できない。けど、隣にいるなら、将来、ユキと幸せになるために、頑張れるよ……。信じてよ」

太陽の切願に、幸弘は太陽の覚悟を侮っていたのだと痛感する。
幸弘は太陽がバカではないことをよく知っている。
素直で、優柔不断で、何かを選択する際は必ず幸弘の存在を決定権に乗せている。

だが、それは太陽が考えなしというわけではない。
それを誰よりも知っていたというのに、幸弘は見誤ったのだ。

大学の進学先という人生の岐路の重みを背負った太陽の判断を。
どれほど、幸弘との「ずっと一緒」という約束を信じて、渇望していたのかということを。

「……ごめん。……ごめん、太陽」

「おれ、……続かないから、ユキが心配してくれるのは分かるんだ……っ、けど、けどな……、ユキが理由なら続くんだ。十六年間、そうだっただろ? 実績があるんだ……。だから、信じて……。おれ、お前と一緒のところに行きたい……ユキとずっと一緒にいたい。四年離れたら、ずっと一緒じゃないよ……」

公園の滑り台の下で一緒にいたいと泣いていた幼い太陽。
十四年経っても同じことを言っている。

太陽は何も変わっていない。心配になるほどに変わっていない。
そして、幸弘だって変わっていない。けれど、幸弘は変わらなければならない。

あの頃、幸弘は誰に言われたわけでもなく、太陽の前ではしっかりして、太陽を守らなければと思っていた。
今も無意識下でそう思っているのだと知って、申し訳なかった。
太陽は対等でいようとしてくれるのに、幸弘は自分を守る側に置こうとする。
これは一方的な庇護欲で対等ではないのだ。

「……俺だって、太陽と一緒がいい……っ」

眼球を覆っていた水滴が決壊し、幸弘の頬に流れていく。
太陽の前で泣いたことがないわけではない。
今朝だって泣いたし、小学生のころにクラスメイトとケンカしたときも太陽の前で泣いた。

けれど、太陽が泣いている時は別だった。
どれほど、自分も悲しくて辛くて、怒ってて、涙が出そうになっても我慢した。
太陽の感情を優先したかったから。
けれど、もうそれはやめるのだ。

「……次のオープンキャンパスで……、星稜がいいなって思ったら、一緒に行こう……。ダメなら、ぎりぎりまで二人で行けるところを探そう……。俺も、四年はむりだから……。っ、四年はずっと一緒じゃない……っ」

大学の四年間はきっと、今の幸弘が思うよりも価値観に影響を与えて、人を変えてしまう。
変わるなら隣にいたい。その様子を見ていたい。
ある日突然、変わった太陽を見せられるのなんてごめんだ。

きつく握られた腕から太陽の手が離れ、幸弘を抱きしめる。
暫く抱き合って、二人して子供みたいにしゃくりあげて、お互いの肩で密かに鼻を拭って、どれくらいの時間が経ったのだろう。
涙はもう流れなくなって、ふと太陽の肩から顔をあげた時、

「……なかなおり?」

と、太陽が言う。
あまりにもその言い方が、幼い太陽と重なって、幸弘は止まった涙が再び流れそうになる。

「う、ん……っ、なかなおり」

「……目が変だ」

幸弘の肩から顔をあげた太陽が目を擦りながら言う。
あまりにも擦るものだから、思わずその手を掴み止める。

「顔洗ってこよう。俺も、目が変」

「久しぶりに大泣きした……。なんか、すっきりしたけど、恥ずかしいかも」

二人してソファから立ち上がり、そんなことを話しながら洗面所へと向かう。
先ほど太陽が回した洗濯機が稼働しており、ムワッとした熱気が洗面所を包んでいた。

「うわ、顔ヤバ」

「……そうか? いつも通りじゃん」

「はぁ~!? どういう意味だよ! おれ、イケメンって言われてるのに、そんなこと言う? え、ユキはおれの顔好きじゃない?」

変なところで自信を持っている太陽はナルシストではないが、ナルシストっぽい発言をする。

「イケメン……というより、可愛いだろ」

「……こんな、デカい男捕まえて可愛いはないだろ」

「顔の話してるんじゃなかった?」

「……つまり、ユキにはおれが可愛く映ってるってことかぁ~。ユキはカッコいいけど、そっか、おれは可愛いのか」

ニマニマしながら、顔を洗う太陽は少し不気味だ。
もちろん、幸弘の言うかわいいは、女子的な可愛さという意味ではなく、子供のような太陽独自の可愛さであり、大型犬のような愛らしさだ。
遠目から見た太陽は周囲が言うようにカッコいいと思う。

「……なぁ、太陽。お腹空いた……。なんか作ってくれるんだろ」

「……ユキに泣かされたから、やる気なくなった」

「おい」

「一緒に作ろ? あ、身体キツイ?」

ピロートークの代わりにあれだったのだと思うと、一気に身体のだるさが思い出されたが、ずっとソファで寝転んでいるほどではない。

「……何食べる。なんでもあるけど」

「野菜いっぱいあったし、鍋にするか? 夏の鍋は美味しいからな! あと、簡単!」

切ればいいだけ! と顔を洗った二人は洗面所を後にして、キッチンを漁る。
なんでもある、は誇張じゃなく、鍋の素まで常備されていた。
二人はそれに笑って、ようやくいつも通りのお泊りになったのだった。