あの日、君から始まった物語を。

「何とか間に合って良かった〜」
「そ、そうだね・・・」
「星奈!」
「あっ、海斗。」
(相変わらず、嬉しさオーラが滲み出てるな・・・)

海斗は星奈のことが好きだ。しかし、好きすぎてたまに暴走しかけることがある。

「・・・珍しいな、奥谷がいるなんて」
「色々とな。そっちは問題なく元気そうでよかったわ」
(まあ、たまに電話で星奈のことで質問されたり、惚気話を聞かされたりしてたから珍しくはないけど・・・。)
「色々?」
「まぁね。」
「・・・とりあえず、歩きながら話そう。あまり遅くなったら家族に心配かけちゃうし」
「そうだな。冬は暗くなる時間も速いし。」
「星奈の家まで俺も着いていいか?」
「良いよ」
(よし!!)
(絶対心の中でガッツポーズしてるな・・・)


「なぁ、海斗はどうして星奈のことが好きになったんだ?」
「遼!?!?」
「急だな?何かあったのか?」
「いや、ふと気になって。」
「・・・・・・そうだな。最初は星奈の優しさや温かさに触れて、この人のことを知りたいって思った。でも、徐々に星奈のことを知っていくたびに可愛い・・・って、大切にしたいって、思い始めて・・・気づいたら、もう好きになってた。」
「何か・・・恥ずかしい・・・。」
(自分で聞いておいてあれだが・・・こいつらラブラブだな。)


「好きだよ。」


(和真が俺を好きになった理由も何かあるのかな?それとも、気づいたら好きになってたのかな?)

「でも、最近は誰かを本気で好きになることって、すごいことなんだなって思った。」
「すごい?」
「うん。星奈に出会う前は自分の未来とか正直どうでも良かった。」
「たとえ社会に出たとしても顔のことで文句を言われたり、言い寄ったりする人とかがたくさんいるだって思ってたし、俺に恋愛絡みなんて一生ないとも思ってた。」
「だけど、星奈と恋人になってからは、将来について本気で考えるようになったし、俺自身も変われた気がするんだ。」
「・・・」
「だから・・・ありがとう、星奈。俺と出会ってくれて・・・」
「海斗・・・・・・ありがとうは、こっちのセリフだよ・・・。」


(・・・なんだこれ?どういう状況なんだよ。ってか、俺の存在、なしにしてるな。)
(・・・でも、海斗の気持ちは分かる。誰かと出会ってってのは俺も一緒だから・・・。)
(昔から、こうなりたいっていう夢もなければ、今の高校だって先生に勧められたのがきっかけだったし、偏差値も高くなければ低くなかったし・・・。そんな中途半端な感じで受けた。)
(高校を卒業したらどうしたいのか先生に聞かれたときは消去法で大学を選択して、とりあえず、学部は文学部かな?って感じだった。でも・・・)


「えっ、専門学校?」
「そう。ブックデザイナーになりたいから」
「ブックデザイナー?」
「本全体のトータルデザインを設計する職業」
「へー、凄そう・・・。」
「すごいよ。読者と本を繋ぐ架け橋をしてる人達だから。」
「・・・遼はどうするの?」
「俺は・・・とりあえず大学で文学部に入った後はどうしようかなって感じ」
「そうなんだ。だったら高校卒業後はお互い違う道に行くんだ・・・」
(違う道・・・)

嫌だなって思った。和真と一緒じゃないんだって思った。一番の友達といつか親友になりたい人と一緒にいたかった・・・。

だって、和真の隣はいつも居心地が良くて、いつも以上に楽しくて・・・幸せだったから・・・。

(あっちも同じ気持ちだったら嬉しいけど、まあ、そんなこと無いか・・・。)




(もし、和真が他の人と付き合うことになったら?俺は・・・喜べるのか・・・?)

「・・・あの時、遼の言葉があったから、僕は海斗と恋人になれた。・・・遼が、僕の背中を押してくれたから・・・今がある。」

「その未来を想像して、後悔するなら、俺は伝えた方が良いと思う。」

「・・・」
「海斗」
「んっ?」
「ありがとう。おかげで返事を伝えられる。」
「はっ?・・・まあ、伝えられるなら良かったけど・・・何の?」
「!・・・頑張れ、遼・・・」
「うん。星奈もありがとう」
「えっ・・・」
(感謝されるようなことしたっけ?)
「・・・ただ、言いたかっただけ」
「・・・心の声、漏れてた?」
「漏れてないよ。ただの勘。じゃあ、星奈、また学校で!海斗は・・・暇なときにまた!」
「雑だな!?」


プルルルル、プルルルル・・・

「遼?」

ポチッ

「どうし」
「今、和真の駅まで向かうから!」
ブチッ、ツーツー・・・

「・・・は?」






(着いた・・・)

「遼!!」
「和真・・・」
「お前、あの電話・・・、それに今何時だと!」
「説教は後!今は・・・少し場所変えよう・・・」
「後ってお前・・・まあ、ここだと人もいるしな。着いてきて」


「ここだったら余り人も来ないし大丈夫だから」
「そう・・・。」
「・・・あのさ、俺も・・・好きだよ。」
「えっ・・・」
「あの後、いっぱい考えて、友達とかに相談したりしてとにかくたくさん考えた。」
「・・・将来について話してた時あったでしょ?あの時、俺、和真と離れるのが嫌だった。一緒の専門学校に通えたらとか考えた。ずっと和真と一緒に居たいって思」

気がついたら・・・和真に抱きしめられていて・・・

「俺も・・・俺も嫌だった。遼と離れ離れになるの嫌だった。こっちに来ればいいって、ずっと遼と一緒に居たいって何度何度も思った!」
「和真・・・」
「でも、遼の道を邪魔したくなかった。本当はこの気持ちも言わないでおこうって思ったけど・・・無理だった。」
「・・・」
「あの時は急でごめん。もし、遼が許してくれるんだったら、もう1回、やり直しをさせてほしい」
「・・・許す。」
「・・・ありがとう。」


「俺は、遼のことが世界で一番大好きです。良かったら俺と・・・恋人になってくれませんか?」
「・・・はい!」
「っ!ありがとう!」
「うわっ!」

そう言いながら和真に抱きしめられ、俺も抱きしめ返した。

「うわっ、まじで嬉しい。夢じゃないよな?」
「夢じゃないよ〜ほっぺつねったら?」
「・・・夢じゃない。」
その様子に、少し笑ってしまう。

「ってか遼、今日どうするんだ?今、帰るにしても遅くに着くし・・・」
「そこは大丈夫!連絡したらお母さんが迎えに来てくれるから!」
「へーー」
「何その含みある言い方」
「俺の家泊まればいいじゃん?」
「はぁ!?」
「着替えは俺の使えば良いし、歯ブラシとかは今買えばなんとかなるし。」
「いやでも明日学校だし、それに和真の両親も」
「許可取ってます。」
「ええ・・・」
「だから後は、遼の両親がオッケーしてくれれば良いだけ。」
「はいはい、今から取りに行きますよ」
「よし!」



「オッケーだって」
「じゃあ、俺の家まで行きますか」
「道案内よろしく〜」
「その前に・・・。」
「・・・こうした方が、温かいだろ?」
「確かに温かいけど、これって・・・」
「良いだろ?恋人なんだし」
「そうだけど・・・」
「それよりも今日の夜、トランプやUNOでもするか?」
「えっ!いいの!?」
「良いに決まってる」
「やった〜!」

和真の家までたくさん話して歩いた。


・・・恋人繋ぎをしながら。

(恥ずかしい・・・人はまだいないけど見られたらどうしよう・・・)

(可愛い・・・。)