あの日、君から始まった物語を。

「今から強制相談会を始めたいと思います。」
「なんて?」
「強制相談会を始めたいと思います」
「何で?」
「今日一日お前の様子が変だからだよ」
「そのために」
「俺の家があるんだ」
「違うだろ。ってか、言葉の文脈おかしいぞ」
「わざとだ」
「おい」

何でこうなったか、それは数十分前の出来事にあった。


「はぁーー・・・」
「何か悩みでもあるのか?」
「・・・拓海・・・」
「授業の話も俺達の話も、どこか上の空だったしな。」
「和真くんと何かあったの?」
「陽人(はると)、星奈(せいな)・・・。」
「やっぱ星奈も思った?」
「うん。遼、毎日和真くんの所に行くのに今日は行ってなかったから」
「うっ・・・」
(星奈の言葉が刺さる・・・。)

けど、それと同時に星奈になら話しても良いかもと思った。

「あーー、詳しいことは余り言えないけど・・・星奈、この後時間ある?」
「良いよ」
「はやっ」
「遼の相談したいこと今ので予想着いたから」

流石と言うべきなのか、それとも・・・

「じゃあ・・・」
「おいコラ待てそこの2人」
「「えっ?」」
「えっ?じゃねーよ。何で俺等はハブられてんだ」
「いや・・・」
「はい、強制連行〜」
「はあ!?ちょっ、」
「連行しまーーす」

「・・・駅の時間大丈夫か?」
「うん、大丈夫。もし、遅れそうになってもラインするから」
「ならいいか」


そして、俺達は今、陽人の部屋にいる。

「で、和真と何があったんだ?」
「えっ、と・・・」
「・・・告白された?」
「ふぁ!?」

星奈!?!?

「遼、大丈夫。この2人は僕と海斗(かいと)のこと知ってるから」
「えっ」
「文化祭の時に2人とバッタリ会っちゃって。その時に海斗がマウント取り始めて・・・」
(あいつ・・・)

別々の高校になってしまったとはいえ、星奈に対する想いは日々更新中のようだった。

「最初はびっくりしたけどな」
「星奈がとんでもないイケメン連れて文化祭回ってるし、そのイケメンからは威嚇されるし。」
「犬かよ。って思ったわ」
「・・・あの時は、海斗がごめん・・・」
「全然」
「気にしてないよ」
「っと、話がずれたな。一応聞くが、和真から告白されたのか?」
「・・・うん。」
「・・・それで、遼はどうしたいんだ?」
「・・・・・・」
「・・・分からない。」
「・・・」
「俺は、和真のことは友達って思ってたし、もしくはそれ以上?・・・親友みたいな関係だって思ってた。」
「でも、告白されて、よく分からなくなって・・・」
「告白されたことは驚きが勝ったけど、嫌じゃなかった。でも、それは、和真のことがそういう意味で好きだからか・・・正直、分からない。」
「遼・・・」
「拓海達は、もし、こんな状況になったら、どうするの?」
「そうだな〜」
「俺は・・・多分、思い出を振り返るかな?」
「思い出?」
「そう。その人と会った時から今日その時まで自分がどういう気持ちで相手と過ごしてたか。頭の中で振り返りながら考えるかな」
「俺は自分自身と対話する」
「対話?」
「・・・自分の気持ちを明確にするために自問自答を繰り返す」
「・・・疲れない?それ」
「疲れるだろうな。でも、本当の気持ちを見つけたいと思うなら俺はやると思う」
(本当の気持ち・・・)
「僕は・・・想像する。かな?」
「想像?」
「うん。もし、自分がその人と付き合ったら?とか、もし、その人が別の人のことを好きになったら?とか、そういう未来を想像して、自分の気持ちを確かめるかな」
「気持ちを、確かめる・・・」
「・・・これ、中三の時に、遼がくれたアドバイスだよ。」
「俺が?」
「中三の冬、だったかな?僕が海斗のことで悩んでた時に遼が言ってくれた言葉。」


中三の冬

「・・・つまり、海斗のことが好きになったかもしれないってこと?」
「好き、なのかな?いや、でも好き・・・なんだと思う・・・」
「だったら告白の返事しないの?」
「・・・しない、かな。」
「・・・」
「僕と海斗じゃ釣り合わないし、それに海斗には僕以上の良い人もいると思うし、友達として海斗の側にいようかなって」
「バカなの?」
「ええっ?」
「まず、海斗の方から告白されて、攻めに攻めに攻められて落とされたじゃん」
「い、言い方!」
「だったら、もう結末も見える同然でしょ?何で星奈は逃げるの?」
「逃げてる訳じゃ・・・」
「・・・じゃあ、この先、海斗が別の人と付き合うことになって星奈は友達として喜べるの?それを祝えるの?」
「それは・・・」
「その未来を想像して、後悔するなら、俺は伝えた方が良いと思う。」
「・・・」
「・・・星奈の気持ち、再確認できた?」
「・・・遼には勝てないね。」




「あっ、たな。そんなことも・・・」
「言った本人が忘れてどうするの」
「ごめん・・・」
「あっ、怒ってないよ。ただ・・・」
「ただ?」
「・・・あの時、遼の言葉があったから、僕は海斗と恋人になれた。・・・遼が、僕の背中を押してくれたから・・・今がある。」
「星奈・・・」
「だから遼も、もし、不安になったときや何かに怖くなった時、僕を頼ってほしい。・・・僕が、遼に相談したときみたいに・・・。」
「・・・ありがとう、星奈。」
星奈の言葉に少し安心して、感謝を言ったとき、星奈は優しく微笑んだ。
(星奈みたいな友達を持って、俺は幸せだな)
そう思ったときだった・・・。


「おーい、そこの2人〜」
「自分達の世界に入らないでもらえませんか?」
「「あっ・・・」」
「言っとくけど、俺達にも相談しに来いよ!星奈一人だけはNGだ!!ってか、星奈も含めて俺達に相談しに来いよな!」
「す、するよ!」
(多分・・・)
「ってか、駅の時間大丈夫か?」
「ちょっと待ってね〜。・・・えっ、やばっ!?」
時計を見たら、次の駅の時間まで残り15分を切っていた。
「せ、星奈!急いで行くぞ!!」
「やばいやばい海斗が暴走する(?)!!」
「またね!拓海、陽人!」
「気をつけてな〜」
「バイバイ」
「また明日!」