僕らフラれた受け同士


重たく感じるグレーのドアを押すとしんと静まり返った屋上が、僕を待ち構えていたかのように迎え入れる。

色あせた緑色のフェンスの下にはクラスごとに色味の違うTシャツに身を包んだ生徒達が楽しげに花火の打ち上がりを待っていた。

それに背を向けて、冷たいフェンスに体を預ける。

胸に渦巻くのは灯の事だった。


「お似合い、だよね」


爽君と灯。

花火に照らされた二人の影を思い出し、空を見上げた。


「二人は幼なじみだし、そもそも元々は恋人同士だったんだし」


爽君なら灯を守ってくれる。

元彼の襲来や大きな板が迫ってきた時も、僕は灯に守られてばかりで……一歩間違えばケガをさせてたかもしれない。

爽君なら、きっとそんな事させない。


「そうだよ、僕なんかと恋人ごっこを続けるより……二人に付き合ってもらう方が何倍も――」


爽君と、本物の恋人同士になる方が。

その方が、灯にとって一番いい。

でも。


「せめて……告白したかったな……」


力が抜けていくように、フェンスにもたれた体がずるずるとしゃがみ込んでいく。

体育座りで、膝に顔を埋めて背中を丸める。

聞こえてきた嗚咽が自分の物だと気づいたその時――屋上のドアが、ギィと音を立てて開いた。

誰かの足音が、僕に近づく。

その気配に、ゆっくりと顔をあげた。