僕らフラれた受け同士


「ごめん、ちょっと行ってくるね」


「うん!いってらっしゃい」


駆けていく背中を見送り、後片づけに戻る。

それからゴミ捨てを終えて、コスプレしていた全員が服を着替えたけれど、灯は教室に帰ってはこなかった。


「松田、矢野ってもう帰ってきた?」


クラスメイトの男子生徒から声をかけられ、僕は首を横に振る。

彼は頭をボリボリとかいて困ったような表情を浮かべた。


「参ったなぁ……俺らのは店で買ったやつだからいいけど、矢野の服だけ演劇部から借りてきたやつだから返さないといけないのに」


「そうなの?それなら、僕が探してこようか」


僕の申し出に男子生徒の目が輝く。


「いいのか!?助かるよ!演劇部のやつらからは、『貸した服は部室に置いといてくれ』って言われてるから……矢野にそう伝えてくれるか?」


「分かった」


楽なクラスTシャツに着替えた皆が次々と校庭に集まる中……僕は一人、灯を探して薄暗い廊下を歩き始めた。

“灯、集計終わった?今ってどこにいる?”

メッセージアプリでも呼びかけてみたけど、既読は付かない。

窓の外を見ると、校庭の中心には先生達が用意してくれたキャンプファイヤーが煌々と燃えていた。

そこには何人か他クラスの担任もいるから、売り上げ金の集計自体はもう終わったんだろう。

三階にも二階にも探している姿はなく、一階の空き教室を覗く。


「ここにもいない、か」


どこにいるんだろう。

空き教室から出ようとしたとき、窓の向こうから話し声が聞こえて足を止めた。