僕らフラれた受け同士


***



夕暮れに染まった空を黒いカラスが飛んでいく。

それが合図かのように校内放送が流れた。


『第45回導希高校文化祭の終了をお知らせ致します……来場の皆様、まことにありがとうございました』


それは文化祭の終わりを告げるアナウンス。

一般客がぞろぞろと校門を出て行く中、僕達は後片づけの用意をしていた。


「お疲れさま、千冬。手伝うよ」


テーブルを拭いていた僕に灯が話しかける。

キレイにセットされていた彼の髪の毛はだいぶ崩れ落ちてきていて、どれだけ忙しかったのかがよく分かった。


「いいよいいよ!ここは僕がやっておくから……灯の方こそ、お疲れさま」


「うん、ちょっと疲れたかも。……もう聞いた?今年の来場者、去年より多かったって」


「えっ……そうなの?」


驚く僕の手から、自然な仕草で布巾を奪った灯がテーブルを拭きあげる。

仕事を取られた僕は近くのゴミ袋へ手を伸ばし、最後のお客さんが食べた食事の紙トレイを袋へと入れていった。


「途中でアイドルのステージもあったし、売り上げが全クラスで横並びかもって先生達が話してたらしいよ。どこが1位でもおかしくないって」


「絶対ウチのクラスが売り上げ1位だよ!灯も皆も頑張ってたし!」


「だとしたら千冬の呼び込みのおかげ。午後からのお客さんの数、圧倒的だったし」


「そ、そうかな……そうだと嬉しいけど」


結局のところ、僕が教室で接客していたのは午前中の限られた時間だけでそれからはずっと呼び込み係だった。

灯のためとはいえ、こんな目立つメイド服も着たんだ。

少しでも集客の力になれていたらいいな。

僕達が会話をしていると廊下から吉元先生が顔を出した。


「矢野!今から売り上げ金の集計なんだが、一緒に来てもらえるか?クラス委員には打ち上げの用意に行ってもらってるから人手が足りないんだ!」


その言葉に灯が「分かりました」と答えて申し訳なさそうに僕を見た。