腰に手をあてて仁王立ちしている彼が、しゅんと肩を丸めた僕の姿を見て小さくため息を吐く。
そして僕の目の前にしゃがみ込むと、視線を合わせてふてくされたように頬を膨らました。
「あのさ、千冬……何でよりにもよって“コスプレ喫茶”なんか提案したの?去年のボクがめちゃくちゃ嫌がってたの、千冬も知ってるでしょ」
「うん、知ってる……でも、あれは“女装喫茶”だったからだよね?今回はコスプレだし、それに――」
恐る恐る、灯の機嫌をうかがうように上目遣いをして本音を伝える。
「灯のビシッと決めたカッコいい姿、一度でいいからやっぱり見てみたくて……えっと、嫌だった……?」
灯が本気で嫌なら諦めるしかない。
僕から先生とクラスメイト達に謝って、別の出し物に変えてもらおうかと考えた……その時。
灯が僕の髪の毛をくしゃくしゃと撫でた。
「そんな悲しそうな顔しないでよ……ズルい。そこまで言われたらやるしかなくなるじゃん」
「えっ……じゃあ!」
「女装は絶対しないからね」
「さすがは灯!ありがとう!」
上機嫌で笑顔を見せた僕に灯は肩をすくめ、まるで愛おしい物でも見るように柔らかく笑った。


