そして灯を含めた全員の視線が集まる中、秘かに文化祭でやってみたいと思っていた出し物を口にした。
「あの、“コスプレ喫茶”とかどうかな?定番だけど人気のある出し物だし……着る人が着れば集客も見込めると思う!」
ちらりと灯を見る。
彼は僕の言葉の真意が分かっていないのか“なんでこっちを見てるの?”といった表情を浮かべていた。
ふと、僕の目論見に感づいた数人の生徒達が歓声を上げる。
「そうだよ!このクラスには灯君がいるじゃん!」
「去年の文化祭で“女装喫茶”を売り上げ1位にしたあの矢野君がいるならそれが良いかも!」
「良い案出すじゃん、松田!」
ざわめく教室。
皆が口々に僕への賛同の言葉を口にする。
灯が“やってくれたな”と言わんばかりに僕をジトリと見つめた。
「おっ、そうだったのか!?それならウチのクラスは“コスプレ喫茶”で決まりだな~!今年も頼むぞ!矢野!」
「……はぁ……」
先生がグッと親指を立てて爽やかに笑う。
それを見た灯は頭を抱えて深く息を吐いた。
その後は通常通りに授業を受け、昼休みを迎える。
バッグからお弁当箱を取り出した僕の机の前、灯が恐ろしいほどの満面の笑みを浮かべて立っていて顔が引きつった。
あれ……灯ってば怒ってる……?
「千冬、ちょっと話があるから屋上で食べようか?」
「あ……はい……」
お弁当箱を片手に強制連行された肌寒い屋上。
首元に巻いてきた白いマフラーで顔を隠した僕は、不機嫌そうな灯の目の前で正座していた。


