「なんて、終わった後に考えても仕方ないね」
__そろそろ帰ろうか。
目を伏せたまま、灯が帰り支度を始める。
窓の外は夕暮れに染まり、運動部も後片づけを始めていた。
…このまま帰していいんだろうか。
自分だけ元恋人に対する思いを吹っ切ったのに…こんな寂しそうな灯を、このまま帰すなんて。
そんな事、できない。
カバンを持ち、教室から出て行こうとする灯の腕を掴む。
お節介かもしれないけど、同じ日にフラれた者同士の縁だ。
僕は極めて明るく振る舞いながらこんな提案をした。
「今からさ、カラオケ行かない!?」
灯の大きな目が見開かれる。
うん、そうだよね。
何言ってんのお前、って感じだよね。
本当にごめん。
それでも何とかして、いっぱい笑わせてあげたかった。
フラれた事なんて忘れるくらい、いっぱい楽しい思いをさせてあげたい。
「え、えっと…!カラオケが無理ならファミレスとか__あっ、コンビニでアイス買って公園とかで食べる!?」
「別に、わざわざボクと行かなくても__」
「灯といたいんだよっ…お前と馬鹿みたいに騒ぎたいの、そういう気分!楽しい事で書き換えなきゃ!」
__だって僕達、今日フラれたんだよ!?
その言葉に灯は目を瞬かせて。
そして、ふわりと笑った。

