僕らフラれた受け同士


「もちろん!灯がくれたこれ、使い心地もよくて気に入ってるんだ」


そう言って首元の白いマフラーに優しく手を添える。

これはホワイトデーに灯からプレゼントされた“お返し”の品だった。

すっかりお気に入りで、最近はどこに行くにも首に巻いて出歩いている。

破れたり、汚れたりしないように細心の注意をはらいながら大切にしているマフラーは、僕の首元と心をポカポカと温めてくれていた。


「そっか……迷ったけどやっぱりそれにして良かったよ。千冬にすごく似合ってる」


「そ、そうかな……ありがとう」


真正面から褒められて顔が熱い。


「ぼ……僕達、もう受験生だね!進路とか決まってる?」


「んー、気になってる大学はあるけど、いっそ就職するのもいいなって思ってる」


「えっ、ホント?僕なんてまだ全然決まってなくて、この間も母さんから――」


早々に会話の内容を切り替えて、灯と二人で廊下を歩いた。

最上階の一番奥にある三年三組の教室に入り、それぞれの席についてホームルームを待つ。

さすがに席は離れてしまったけど、同じクラスになれただけで満足だから文句なんてない。

やがてやって来た担任教師が、壇上で軽い自己紹介をした。


「皆の担任になる吉元だ!進級した早々ではあるが、今日は皆に大発表があるぞー!」


そのまま続けて、上機嫌に黒板へと大きく文字を書いた吉元先生。

自然と、僕達の視線はチョークで書かれた文字に釘付けになる。

そこに書かれていた言葉は……“文化祭”。