僕らフラれた受け同士



***


4月がやってきた。

まだ少し肌寒さを感じる中、学校の敷地内に植えられた桜が咲いた頃。

僕は学内の掲示板に貼られた紙の前で両手を組みながら目を強く瞑っていた。

学年事に決められたクラス替え……その結果がこの紙に書いてある。


「千冬、目を閉じてたら一生分からないよ?」


隣に並び立つ灯がクスクスと笑う気配を感じ、恐る恐る目を開ける。

この紙切れ一枚の内容次第で三年生最後の学校生活、灯と過ごせるかどうかが決まってしまう。

こんなに緊張してるの、受験の合格発表以来かも……。


「ほら、顔上げて?一緒に見よう」


「う……うん」


深呼吸をして掲示板を食い入るように見る。

一組には、名前はない。

二組にも……ない。

と、いう事は。

必然的に残っているのは三組。

最後のクラスに書かれた名前を二つ見つけた時。

僕はようやく張り詰めていた緊張の糸を解いた。


「やった……!僕達今年は同じクラスだよ、灯!」


「だね、一年間よろしく千冬」


「こちらこそ!」


求めていた最良の結果に満足し、ようやく安心する事ができて口元の緩みが抑えられない。


「えへへ、嬉しいなぁ」


首に巻いていたカシミアの、白くふわふわな手触りのマフラーに顔を埋める。

それを見た灯が優しい笑みを浮かべた。


「そのマフラー、使ってくれてるんだ?」