でも、それが当たり前だよね。
ドアを開けた時の照君を思い出す。
“爽君が来てるの?”――そう問いかけた彼の声は少し嬉しそうだった。
僕を見た瞬間、ガッカリしたように見えたのも……きっと見間違いではない。
うん、そりゃ仕方ないよね。
照君にとっては、初対面の僕よりも幼なじみである爽君の方が近い存在なんだから。
でも改めて灯と爽君の繋がりの深さを知った気分で……なんか寂しい。
「千冬、手当ては終わったけど……良ければこのままウチで遊んでいかない?」
灯からの申し出はとても嬉しい物で、僕は一瞬だけ目を輝かせた。
だけど、どうしても拭えないモヤモヤが邪魔をして素直に頷けない。
「あ、あまり長居しても悪いしもう帰るよ!……わざわざ手当てしてくれて、ありがとう」
そう言ってスクールバッグを肩に掛け直してソファから立ち上がる。
内心、後ろ髪を引かれる思いで「お邪魔しました~」と足早にリビングを出ようとした……その時。
僕の腕がギュッと掴まれた。
「待って千冬、それなら家まで送る」
「いや、いいよいいよ!道は覚えてるから一人で帰れるし、これ以上迷惑かけらんないって!」
頑なに遠慮する僕の腕を、灯が優しく後方に引き寄せた。
「……今までは送らせてくれてたよね?それに千冬が関わる事で“迷惑”なんて思った事、一度もないんだけど?」
言われた言葉の意味が分からないとでもいった様子で、灯は上目遣いにこてんと首を傾げる。
その無意識な優しさに触れ、緩みそうになった口元をキュッと引き締めた。
灯はいつも僕に甘すぎる。


