僕らフラれた受け同士


「――灯?」


僕の名前を呼ぶ声に反応して顔を向ける。


「えっと……ごめん、待たせちゃって」


そこに立っていた灯はまだ状況を理解できていないようで、言葉を紡ぎながらも視線を素早く動かしていた。

僕の顔を見て、アイツの顔を見て……その足元で潰されたままのチョコの袋を見て。

もう一度、何かに気づいたようにハッとした様子で僕の顔を見た灯の表情が、険しい目つきで眉をひそめる。


「え、可愛いじゃん!千冬の待ち合わせの相手ってこの子~?」


元彼が……アイツが灯へと小汚い笑みを浮かべて近寄る。

このままじゃ灯にまで嫌な思いをさせてしまう!


「その子は関係ないだろ!近づくな!」


慌ててやつの腕を掴み、力いっぱいに後ろへと引っ張って阻止を試みる。


「はぁ?ウッザ……お前はあとで相手してやるから待ってろって」


「っ……!」


やつの腕が僕を払いのけ、バランスを崩した体が近くの机にぶつかる。


「――痛……!」


無意識に受け身をとろうとして、嫌な角度で体重を支えた手首が僅かに痛みを帯びていた。

マズい……これ、捻ったのかも……。


「千冬っ!大丈夫!?」


灯の慌てた顔が目に飛び込んできて、なんとか笑顔を作る。


「だ、大丈夫だから」


「今“痛い”って言ってただろ!すぐ保健室で見てもらおう!」


僕の顔を見た灯が小走りにこちらへ駆け寄ってくるのが見えた。

その行く手を阻むように、アイツが間に割って入る。