『んー……大した事じゃないんだけどさ、雪が降ってきたから千冬も見てるかなって思って』
「えっ……雪?ちょ、ちょっと待ってて!」
ベッドから下りて、窓へと小走りに駆け寄る。
正座のせいで痺れた足がピリピリと痛みを滲ませる中、閉め切っていたカーテンと窓を開けた。
ひんやりとした清んだ空気。
空から舞い落ちる氷の粒が、伸ばした手のひらの上で溶けて消えていく。
「わ……本当だ、綺麗だね」
『ね。ホワイトクリスマスなんて初めて経験する』
「うん、僕も」
音もなく降り積もる小さな雪。
それが見慣れた風景を白く染めていて、少しだけ幻想的に思えた。
灯も今、僕と同じ光景を見ているんだね。
そんな小さな事がこんなに嬉しいなんて。
そんな感情自体が久しぶりすぎて、長らく忘れていた。
「……ねえ、灯。今日さ……本当に楽しかった」
『うん、ボクも楽しかった』
「その、クリスマス誘ってくれたのも連絡先も……プレゼントも全部、全部ありがとう」
『何?急に……どういたしまして』
灯がクスクスと笑う。
ずっとこうして電話していたい。
いや、やっぱり会って話したい。
今日遊んだばかりなのに……おかしいよね、僕。
でも“また遊ぼう”ってどうしても伝えておきたい。
そうしないと……次の約束がないと今日で終わりになりそうで、怖かった。

