家まで送ってもらい、灯と別れた一時間後。
入浴を終えた僕は、まだ濡れた髪のまま自室のベッドの上で正座をしていた。
目の前には同じくベッドの上に置かれたスマホ。
その画面にはメッセージアプリのトークルームが開かれていて、先ほど登録したばかりの灯の名前が表示されている。
「……灯、もう家に帰り着いたかな?」
お風呂とか入ってるだろうし、やっぱり“登録したよ”とかの挨拶はもう少し待った方がいいかな。
そもそも、さっき別れたばかりなのにメッセージを送るのってはしゃぎ過ぎてる……?
電話した方が……いや、でも。
考えれば考えるほど行動に移す時間が減っていく。
せっかく貰った連絡先とIDなのに、連絡するタイミングが掴めない。
「やっぱり先に髪を乾かしてから――」
そう言いかけた時、スマホに着信音が鳴り響いた。
慌ててスマホを見ると、そこには灯の名前。
妙に緊張する指先で通話ボタンを押し、スマホを耳にあてる。
『……あ、千冬?今って電話して大丈夫だった?』
「う、うん!大丈夫!えっと……どうした、の?」
上ずった声に顔が赤くなるのを感じながら灯の言葉を待った。
電話の向こうで灯が息をもらして笑った気配がする。

