僕らフラれた受け同士


震える手で箱を持ち、リングを見つめる僕を見て灯が不安げに呟いた。


「もしかして、“恋人ごっこ”でお揃いとか…重かった?」


「そんな事ない!スゴく嬉しいっ…!」


僕が即答すると、安心したような表情で灯が微笑む。


「よかった…そうだ。ちょっと貸して?付けてあげる」


「うん…!ありがとう!」


灯が僕から箱を受け取り、台座の下のチェーンを取り出す。

それをリングに通してネックレスにしたあと、手際良く僕の首に付けてくれた。

お互いの胸元で揺れる、チェーン付きのペアリング。

初めての“お揃い”は周囲のイルミネーションにも劣らない美しさでキラキラと輝いていた。

そして、すっかり日が暮れて吹きつける風が本格的に冷たくなったころ。

僕らは同時にくしゃみをして顔を見合わせる。


「……そろそろ帰ろうか」


「うん、だね……」


名残惜しいけど、このままこの場所にいたら凍え死んでしまう。


「千冬、家ってどこら辺?送っていくよ」


「いや、いいよそんな…!灯の帰りが遅くなっちゃうし」


「もう少し一緒にいたいから、送ってく」


「っ……」


そんな事を言われたら、もう断る気にはなれない。

自然と繋がれたお互いの手。

灯の体温が伝わるのを感じて、まだ離したくないなとマフラーに顔を埋めながらクリスマスマーケットを後にした。



***