差し伸べられた手は白くて、長い指先は水色のハンカチを持っている。
「このハンカチ、使ってないからよければ」
声をかけられても、僕はすぐに動けずにいた。
近くで見ると、灯君は本当にキレイな顔立ちをしている。
大きな目に小さな鼻と口。
長いまつげ、ツヤツヤの髪の毛。
こんな可愛い子もフラれるんだ…なんて思っていると、目の前の彼は不思議そうに首を傾げた。
「あの…ハンカチ…使う?」
「あっ…ゴメン、ありがとう…!」
慌ててハンカチを受け取り涙を乱暴に拭き取る。
それを見ていた灯君が、優しく僕の手をとった。
「そんな激しくしたら赤くなる」
貸して、と僕の手からハンカチを受け取り、灯君が丁寧に涙を拭いてくれる。
「っ…」
その優しさに耐えきれなくなって、僕は更に涙を流してしまう。
ダメだ、今は何されても泣く自信がある。
「涙、止まんないね」
そう言って灯君が小さく笑った。
そのまま僕の隣にしゃがみ込んで、膝を抱える。
すんすんと鼻水をすする音だけが辺りに鳴っていた。
不意に灯君の手が伸びて、僕の背中をさする。
「キミは、何で泣いてるの?」
灯君が尋ねる。
僕は止まらない涙を流しながら、辿々しく理由を話し始めた。

