「お待たせ…!どこで食べる?」
「ちょっと寒いかもしれないけど、晴れてるし屋上に行こうか」
「いいね、行こう」
久しぶりの会話に浮き足立ちそうになるのを抑え込みながら、二人で階段を上り目的地へと向かう。
屋上に繋がるドアを開けた瞬間、冷たい風が吹き抜けていった。
今日は気温が少し低いからか、辺りには他の生徒の姿は見えない。
ドアを閉めてしまえば、そこは僕と灯だけの世界みたいで…何だかカラオケに行った時を思い出して緊張する。
適当な場所に腰を落とし、お弁当箱を広げ終わった時、灯が僕に声をかけた。
「千冬、ごめん」
突然の謝罪に箸でつまんでいた卵焼きが白米の上でバウンドした。
「え…ごめんって何が?」
「クラスでの話し合いで昼食一緒に食べられなかったのもだけど…文化祭での事」
「文化祭?え…何かあったっけ?」
灯に謝られるような事、何かされたかな?
考えてみたけどそもそも文化祭の日は僕達、ろくに会ってすら無い。
意味が分からず困惑したまま灯を見た。
彼はお弁当のサンドイッチを手に、視線を下へと落とす。
「実は…千冬の事、文化祭で避けてた」
「へ?」
え――え、待って。
避けてた?
灯が、僕を?
「へ、へぇ…な…何で避けてた、の…?」
詰まりそうになる言葉をどうにか口にする。
もしかして、やっぱり恋人ごっこが嫌になったとか…。

