「ごめん、千冬…今日の昼はクラスメイト全員で文化祭の話し合いするんだった」
「あ…そっか、分かった!また来週ね!」
「本当にごめん」
謝る灯に「大丈夫だよ」と笑う。
残念だけど、文化祭の話し合いは先週僕のクラスもやったから仕方ない。
「…行くぞ」
爽君が灯を引っ張って連れて行く。
「ちょっと爽、引っ張るなって!…千冬、今度ちゃんと埋め合わせするから!」
「う、うん!また…」
ぎこちなく手を振って、その光景から目を逸らす。
幼なじみ、なんだよな…あの二人。
両者の“幼なじみ”としての、入っていけない独特な空気感に劣等感を感じながら、とぼとぼと自分の教室へと戻った。
カラオケボックスで過ごしていたあの時間が懐かしい。
あの日、灯が舐めた人差し指を乾燥した唇にあてる。
灯は爽君と“恋人っぽい事”ができなかったっていうけど…爽君の方から、灯にキスした事ってあるのかな。
考えれば考えるほど孤独感を覚えて、僕は自分の机に突っ伏した。
「…早く来週にならないかな…」
窓の外、トンボが飛び交う様子を眺めて呟く。
灯をご飯に誘うのは週に一度…そう決めた自分が恨めしかった。

