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カラオケボックスから始まった僕達の“恋人ごっこ”は、それからも緩やかに続いていた。
と言っても、クラスは別々。
下駄箱で偶然会った時に挨拶くらいしかする事もない。
だから僕は週に一度、お弁当を持って灯のクラスまで行っている。
「灯、一緒にご飯食べない?」
「うん、行こうか」
嬉しい事に、今のところ灯がその誘いを断った日は無い。
本当は毎日この時間を楽しみたいけど、僕らの関係は恋人ごっこ。
そこら辺、ちょっと遠慮している。
灯の教室前の廊下で、ランチタイムを過ごす場所について僕が話しだす。
「今日どこで食べようか、屋上…いや校庭のベンチ?灯はどこがいいとかある?」
「そうだね、天気も良いし外がいいけど――」
何気ない会話が始まり揃って廊下を歩き出そうとした時…一人の男子生徒が灯の腕を掴んだ。
「ちょっと待て、灯」
聞き覚えのある低い声。
その人物の姿を見た瞬間、僕は目を丸くした。
灯の元彼だ。
確か…名前は――。
「爽…ボクに何か用?」
灯が小首を傾げて元彼…爽君を見た。
爽君は僕をちらりと見たあと、掴んでいた灯の腕をグイッと引っ張り、その体を自身の近くに引き寄せた。
「用?じゃないだろ。お前今日のホームルームの話聞いてた?」
「ホームルーム…あっ…」
何かを思い出した様子の灯が、申し訳なさそうに僕を振り返った。

