僕らフラれた受け同士


それから時間は過ぎていき、僕らは五回目の採点バトルを終えようとしていた。

僕の歌唱結果がモニターにドンと出る。


「やった…92点!今回は僕の勝ちだ!」


「おめでとう千冬。…5戦1勝だけど」


「そこ、一言余計!全敗してないからいいの!」


パチ、パチ…と祝福してくれているのかどうか分からない灯の拍手に僕は胸を張る。

平均点が余裕で90点越えの歌唱力を持つ相手に、1勝でもできたのは大きな戦果ではないだろうか。

ご機嫌な僕を見て灯が微笑む。

その目を見つめて僕は満面の笑みでマイクを掲げた。


「見てろよ灯!ここから勝率上げてみせ__」


__プルルルル…。

__プルルルル…。


部屋に鳴り渡る無機質な音に、夢から覚めた気分になった。

灯が受話器を取り、短い会話を終わらせる。


「あと10分だって」


「そっか…もう、二時間経つんだ…」


口にした言葉は想像以上に寂しさを含んでいた。

それはつまり、この“恋人ごっこ”もあと10分で終わるという事で…。

その事実は僕の心にぽっかりと穴を空ける。


「…灯はさ、この二時間…楽しかった?」


気づけば、口が勝手にそう問いかけていた。

問われた相手はふわりと微笑み、答える。