その場にしゃがみ込んだまま、肩を落とす。
何で他人の破局まで見届けないといけないんだ。
バタンとドアが開き、背の高い男子生徒が教室を後にする。
隠れていた僕に気づいて僅かに眉間にシワを寄せた後、彼は悲しげな表情を浮かべて階段の方へと歩いて行った。
「あっ…」
思わず伸ばした手は、遠ざかる彼の背に届かない。
ギュッと拳を握って、再び膝を抱え込む。
僕が何を言えるっていうんだ。
あの二人の事なんて何も知らないのに。
なぜか、目頭が熱い。
さっき止まったはずの物が、ボロボロと両目からこぼれ落ちて制服にシミを作った。
せめてあんたら二人は仲直りしてくれよ。
話し合って、お互いに納得して。
ハッピーエンドが見られたら、少しはこの気持ちも晴れたかもしれないのに。
僕の前で破局すんなよ。
バカ。
いや、分かってる、バカなのは僕の方だ。
勝手に覗き見して、自分の事みたいに傷ついて、こんな所で泣いて。
八つ当たりのような感情が頭に渦巻いて、その事に自己嫌悪してまた気が滅入る。
鼻をすすり、目を擦る。
それでも涙が止まらない。
「キミ…大丈夫?」
頭上から降ってきた凛とした声に、顔を上げる。
そこにはあの男子生徒…“灯”君がいた。

